2015 Fiscal Year Annual Research Report
ピグミー系狩猟採集民の低身長の解明:思春期スパートの証明と存在意義
Project/Area Number |
25650151
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山内 太郎 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (70345049)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 狩猟採集民 / 成長 / 思春期スパート / 子ども期 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1996年より断続的に調査を継続しているカメルーン東部州に暮らすピグミー系狩猟採集民(ピグミー)の子ども(0歳~20歳)について、これまでに例の無い大規模サンプルの縦断データを取り、人類集団の中で極めて低身長で知られているピグミーの成長パターンの解明に挑戦するとともに、思春期スパートの意義について考察することを目的とした。 実際にはマンパワーの欠如により長期滞在型の調査は困難であり、短期滞在を断続的に繰り返し、測定をおこなってきた。また、対象集団は定住化が進んでいるものの、移動生活を行っており、同じ子どもの縦断データを得るのは非常に困難であった。1回以上測定できた子どもをつなぎ合わせて混合縦断データ(mixed longitudinal data)として、高度な統計手法を用いて解析を試みている。 H27年度は最終年度であり、これまで蓄積したデータの部分的な解析を元に、国内の研究会や学会、また国際学会に参加して成果発表を行った。現時点における結論としては、アフリカ熱帯林に暮らすピグミー系狩猟採集民の成人男女の平均身長は同じ生態学的環境に暮らす近隣農耕民と比較して低く、その原因として思春期スパートによる成長量(PHV, peak height velocity)、すなわち単年度あたりの身長の伸び(cm/年)が少ないことが原因であることまでは言えるが、その理由については環境要因のみでは説明が困難であり、遺伝要因の検討、または農耕民の成長パターンとの比較調査が新たな課題として浮上した。 一方、思春期スパートの意義について考察するにあたり、H26年度と同様、現生人類(ホモ・サピエンス)と最も近縁な集団と考えられているネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルタールシス)の成長パターンについても検討し、論文を執筆した(印刷中)。
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Research Products
(10 results)