2013 Fiscal Year Research-status Report
IR-LEGOとTALEN法による時空間特異的遺伝子発現制御の試み
Project/Area Number |
25670098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小林 大介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60376548)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子発現制御 / 嚢胞腎 |
Research Abstract |
左右軸決定機構の解析に、IR-LEGO(赤外線レーザーとヒートショックプロモーターを用いて、細胞レベルで遺伝子の発現をコントロールする手法 )を利用し得るか否かを調べるために、左右軸の決定が起こると考えられている時期よりも発生をさかのぼり、レーザー照射の予備実験を行った。レーザーを正確に目的の位置に当てるためには、胚を固定する必要があるが、メダカの初期胚に対しこれらの操作を行ったところ、胚細胞の自律的な運動が卵黄膜を破り、卵黄が漏れて胚が育たないことが判明した。いくつかのステージで検討したところ、胚の細胞が激しく増殖・移動するエピボリー中の胚ではこの現象が非常に起こりやすく、左右軸の決定機構についてIR-LEGOを利用することは困難であることが判明した。 そこで実験の対象を、嚢胞腎の発症機構に変更し、嚢胞腎原因遺伝子の発現を時空間特異的にコントロールすることでその発症機構の詳細を解析することを次の目的とした(嚢胞腎の発症には、左右軸の決定と同様に細胞小器官である「繊毛」が重要な役割を担っている)。腎臓の発生時期においては、IR-LEGOを利用した先行研究が有り、本実験対象には左右軸決定期のような、胚操作上の問題は無いと考えられる。 まず手始めに繊毛の異常に起因して嚢胞腎を発症する遺伝子のノックアウトメダカを作成した。遺伝子の破壊は近年開発された人口ヌクレアーゼを利用したTALEN法を用い、対象遺伝子に対するTALENを導入した個体において、遺伝子の破壊と嚢胞腎の発症を確認した。更にこれらの個体を継代し、系統化したF2個体においても嚢胞腎を発症することを確認している。今後は、このノックアウト個体に対し、当該遺伝子の発現をコントロール可能なコンストラクトを導入する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初目的としていた解析対象の左右軸の決定機構の解析は、サンプルの扱いの困難さから、実験の継続を断念した。そこで左右軸の決定機構と同様に「繊毛」の機能が重要な役割を果たしている嚢胞腎の発症に研究対象を移すこととした。時空間特異的な遺伝子発現をコントロールするために、ノックアウト個体とヒートショックプロモーターにより遺伝子発現のON/OFFを行う系を利用する点は共通で、現在までに繊毛関連遺伝子の破壊により嚢胞腎を引き起こすノックアウトの個体の作成・系統化は完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに繊毛関連遺伝子のノックアウトメダカを作成・系統化し、嚢胞腎の発症を確認している。今後はこのメダカに、野生型嚢胞腎原因遺伝子をloxPで挟んだコンストラクトと、ヒートショックプロモーターの制御下でCreを発現するコンストラクトの2つを導入し、IR-LEGOを利用して時期・部位特異的にこの遺伝子の発現を制御し、この遺伝子が嚢胞腎の発症にどのように関与しているかを細胞レベルで解析する予定である。
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Research Products
(2 results)