2014 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類を用いたGABA抑制能を指標とする新規疼痛評価系の確立
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25670289
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
古江 秀昌 生理学研究所, 生体情報研究系, 准教授 (20304884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 和彦 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所, 部長 (00226630)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 鎮痛 / 青斑核 / シナプス / 脊髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き今年度は以下の研究を重点的に遂行し、新規鎮痛法の開発を行う上で有用な成果が得られた。 1 霊長類痛覚回路の同定 痛覚回路を同定するために、脊髄スライス標本を作製し、脊髄後角細胞からパッチクランプ記録を行った。電位固定下に脊髄後角細胞は自発性の興奮性シナプス後電流を発生した。カプサイシンを投与すると自発性興奮性シナプス後電流の発生頻度が著明に増大した。微小興奮性シナプス後電流でも同様の反応がみられ、組織化学的研究などからも、これらカプサイシン反応性の細胞は後角表層の多くの細胞で観察され、カプサイシン感受性C線維が密に投射するこれらの細胞が痛覚伝達を担うことが示された。 2 チャネルロドプシンや触刺激による内因性痛覚抑制系の賦活化とその鎮痛効果 チャネルロドプシンを青斑核に発現させ行動解析を行った。まず齧歯類を用い青斑核を光依存性に賦活化すると、逃避行動の閾値が上昇するのみならず、低下するケースが見受けられた。青斑核の賦活化は下行性に鎮痛作用を呈するが、一方で上行性に皮質の活動も高めて覚醒が高められるため、純粋な鎮痛効果のみ発揮することは困難であると判断した。そこで、もう一つの内因性の鎮痛作用として知られる、触刺激による鎮痛効果の解析を遂行した。In vivo脊髄後角表層から記録を行い、全身深麻酔下に皮膚への機械的刺激に対する活動電位を記録した。機械的刺激の周囲に触刺激を加えると、活動電位は完全に抑制され、強い鎮痛効果が得られた。またその受容野は同側の広い領域に亘り、この触刺激による内因性の脊髄抑制系が霊長類においても強い鎮痛を発揮することが明確となった。
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Research Products
(18 results)