2014 Fiscal Year Research-status Report
患者の重複受診行動の要因解明:保険者レセプトデータを用いたネットワーク分析
Project/Area Number |
25670315
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 由光 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40450598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 健夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70217933)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 重複処方 / 社会ネットワーク分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、外来患者における医薬品別の「重複処方」の割合を明らかにすること、医療機関における重複処方患者の割合を明らかにすることを目的とし、昨年度取得・整理を行った複数の健康保険組合のレセプトデータ(2012年12月)を用いた分析を行った。医薬品は、ATC分類の第2レベルで分類を行った。「重複処方」を、「ATC分類第2レベル(3桁)が同じ薬剤を1か月の間で複数の医療機関より処方されている」と定義した。医薬品別の「重複処方割合」は、「該当する同分類医薬品を2医療機関以上より処方されている患者数(重複処方患者数)」/「該当医薬品を処方されている外来患者数(有病数)」で算出した。 被保険者は、1,243,058名であった。全般的に、有病割合の高い医薬品ほど、重複処方割合が高い傾向がみられた(相関係数:0.90)。0-19歳では、有病割合の高い医薬品は、咳と感冒用製剤(有病割合11.2%, 38,356/343,936)であり、重複処方割合は10.8%(4,147/38,356名)であった(うち2医療機関:3,850名、3医療機関:282名、4医療機関:15名)。全身用抗菌薬では9.3%(3,372/36,231)、全身用抗ヒスタミン薬では8.5%(2,654/31,297)であった。20-39歳では、咳と感冒用製剤(有病割合3.0%, 13,856/461,314)であり、重複処方割合は5.5%(769名)であった。40-64歳では、カルシウムチャネル遮断薬、レニン・アンジオテンシン系作用薬、脂質修飾剤、糖尿病薬、抗痛風製剤(有病割合3.2-3.8%)では、重複処方割合は1%に満たなかった。65歳以上においては、40-64歳にくらべ有病割合は増えるが、同様の傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画では、1,000,000人のデータを用いたデータ解析を実施することが目的であった。昨年度準備したリレーショナルデータベースを、新たなサーバーに移行することで、スピーディーなデータ抽出が可能となった。また、並行して、ネットワーク分析のために、Rのsnaパッケージを用いプログラミングを実施している。成果の一部を、2015年の国際学会で発表する予定である。以上より、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、最終年度であり、計画書通りに、データの解析および方法論の開発および政策提言を行い、論文化を行う。2014年度の成果より、全般的に重複処方割合は低かったが、医薬品ごとに特有の傾向がみられたため、サブグループ解析として医薬品ごとにネットワーク分析を行う。特に、重複処方が比較的多く行われていたアレルギー疾患や精神疾患に関して重点的に行う。
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Causes of Carryover |
2014年度は、当初計画の2014年度の額を予定通り執行できたが、2013年度の未使用額のため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画書通りに、研究の打合せ・情報収集の国内外旅費、研究資料の収集/データクリーニング等を行う研究協力者への人件費・謝金、通信費、運搬費等に使用する予定である。また、分担研究者への分担金としても使用する。さらに、英文校正、国際/国内学会や論文掲載料など成果発表に向け使用していく予定である。
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