2013 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞におけるインクレチンおよびPACAP受容体の発現制御機構の解明
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25670435
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
寺内 康夫 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40359609)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 膵β細胞 / インクレチン受容体 |
Research Abstract |
膵β細胞におけるグルコースシグナルおよびAMPKを介したインクレチン受容体の発現制御および受容体の膜移行制御機構の解析:膵β細胞におけるGLP-1受容体およびGIP受容体の発現制御機構を明らかにするために、マウス単離膵島を用いてグルコースシグナルやインスリンシグナル、およびAMPKによる受容体発現制御機構を解析した。細胞外グルコース濃度上昇により単離膵島においてインクレチン受容体の発現が上昇することを見いだした。また、グルコースシグナルを増強するグルコキナーゼ活性化薬(GKA)によっても膵島におけるインクレチン受容体の発現は上昇した。さらに、グルコース濃度上昇およびグルコキナーゼ活性化薬添加のどちらにおいてもAMPKが脱リン酸化されることも確認した。以上の成績より、グルコースシグナルによりAMPKの脱リン酸化を介して、インクレチン受容体の発現を上昇させることが予想された。さらに、単離膵島においてAMPKの阻害薬により、膵島におけるインクレチン受容体の発現が上昇することを証明した。 膵β細胞におけるグルコースシグナルを介したPACAP受容体の発現制御の解析:膵β細胞におけるPACAP受容体のVPAC1およびVPAC2の発現制御機構を明らかにするために、マウス単離膵島を用いてグルコーススグナルによる受容体発現制御機構を解析した。興味深いことに、我々は、単離膵島においてGKAによるグルコキナーゼ活性化により、VPAC1の発現は有意に上昇するものの、VPAC2の発現は逆に有意に低下し、2つの受容体がグルコースシグナルに応答し、全く異なる挙動を示すことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度はI膵β細胞におけるグルコースシグナルおよびAMPKを介したインクレチン受容体の発現制御および受容体の膜移行制御機構の解析と、②膵β細胞におけるグルコースシグナルを介したPACAP受容体の発現制御の解析を大きなテーマとして掲げた。 膵β細胞におけるGLP-1受容体およびGIP受容体の発現制御機構を明らかにするために、マウス単離膵島を用いてグルコースシグナルやインスリンシグナル、およびAMPKによる受容体発現制御機構を解析した。当初の計画通りに研究は進み、一部の成果を論文化した。今後も論文化できそうなものがある。 また、膵β細胞におけるPACAP受容体のVPAC1およびVPAC2の発現制御機構を明らかにするために、マウス単離膵島を用いてグルコーススグナルによる受容体発現制御機構を解析した。興味深いことに、我々は、単離膵島においてGKAによるグルコキナーゼ活性化により、VPAC1の発現は有意に上昇するものの、VPAC2の発現は逆に有意に低下し、2つの受容体がグルコースシグナルに応答し、全く異なる挙動を示すことを見出した。この研究成果は今後論文化の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は糖尿病モデルマウスにおけるインクレチン受容体およびPACAP受容体の発現解析とその病態生理学的意義の検討と、膵β細胞におけるインクレチン受容体およびPACAP受容体の発現上昇を介した糖尿病の新規治療法の開発を計画している。基本的には当初の予定通りである。 慢性的に過剰な高血糖や脂質、サイトカインに暴露されている糖尿病状態では膵β細胞における各種ホルモンの受容体発現が変化していることが予想される。我々は、既に肥満糖尿病モデルのdb/dbマウスの膵島では、AMPKの阻害によるGLP-1受容体およびGIP受容体の発現上昇が抑制され、またVPAC2の発現が低下していることを見いだしている。現在、これらの糖尿病状態における受容体発現低下の分子機構を、AMPKのリン酸化およびその下流のシグナルの発現、インスリンシグナル分子や、インスリン分泌・細胞増殖に関わる転写因子の発現を解析し検討している。また、糖尿病状態における受容体の膜への移行障害の可能性についても検討を重ねている。これらの解析を通じて、膵β細胞におけるホルモン受容体の発現変化の観点から糖尿病の病態解明に挑む。 マウス個体における膵β細胞でのインクレチン受容体およびPACAP受容体の発現誘導について単離膵島で得られた知見から検証を進めたい。我々は、既にAMPKの活性化薬であり糖尿病薬として使用されているビグナナイド薬のメトフォルミンをマウスに投与し、生体内においてもAMPKのリン酸化状態とインクレチン受容体の間に相関関係があることを見いだしている。今後、膵β細胞特異的グルコキナーゼ欠損マウスや糖尿病モデルマウスにおける膵β細胞のグルコースシグナルおよびAMPKの制御により、インクレチン受容体の発現を上昇させる糖尿病治療を検証していく。また現在、糖尿病モデルマウスにGKAを投与した時のPACAP受容体(VPAC1およびVPAC2)の発現変化を検証している。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] β cell proliferation after a partial pancreatectomy is independent of IRS-2 in mice.2014
Author(s)
Togashi Y, Shirakawa J, Orime K, Kaji M, Sakamoto E, Tajima K, Inoue H, Nakamura A, Tochino Y, Goshima Y, Shimomura I, Terauchi Y.
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Journal Title
Endocrinology
Volume: 155
Pages: 1643-52
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Effects of the antitumor drug OSI-906, a dual inhibitor of IGF-1 receptor and insulin receptor, on the glycemic control, β cell functions, and β cell proliferation in male mice.2014
Author(s)
Shirakawa J, Okuyama T, Yoshida E, Shimizu M, Horigome Y, Tuno T, Hayasaka M, Abe S, Fuse M, Togashi Y, Terauchi Y.
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Journal Title
Endocrinology
Volume: 155
Pages: en20132032
Peer Reviewed
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[Journal Article] AMPK is involved in the regulation of incretin receptors expression in pancreatic islets under a low glucose concentration.2013
Author(s)
Tajima K, Shirakawa J, Togashi Y, Inoue H, Sato K, Orime K, Ito Y, Kaji M, Sakamoto E, Nakamura A, Aoki K, Goshima Y, Atsumi T, Terauchi Y.
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Journal Title
PLoS One
Volume: 8
Pages: e64633
DOI
Peer Reviewed
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