2013 Fiscal Year Research-status Report
TRPV3の遺伝子異常から掌蹠角化症に至る分子機構
Project/Area Number |
25670497
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
澤村 大輔 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60196334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
会津 隆幸 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00400135)
中島 康爾 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70374832)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 角化 / 掌蹠 / 温度 / 表皮細胞 |
Research Abstract |
先天的に掌蹠の過角化をきたす遺伝性掌蹠角化症は数多くあり,その原因遺伝子がいまだ不明のものや原因遺伝子が明らかにされたものでも過角化に至る機序が明らかにされていないものも少なくない.オルムステット病は,脱毛,口囲や肛囲の角化性紅斑,激痒を特徴とする遺伝性掌蹠角化症であり,近年患者の全遺伝子をシークエンスするという新しい方法によって,TRPV(transient receptor potential vanilloid)3チャネルの遺伝子異常で生じることが明らかにされた.さらにその変異はチャネルの機能を欠失するのではなく,逆にその機能亢進が誘導される変異(gain-of-function)であることも解明された.本研究の目的は,TRPV3の遺伝子異常から掌蹠角化症に至る機序を明らかにし,表皮細胞の増殖や分化の一端が温度の変化によって調節されうるという新しい概念を構築する.本年度は、体の種々部位でのTRPVの発現,活性化温度の比較検討を行った.すなわち,いろいろな部位(胸部,背部,上腕,前腕,手背,手掌,大腿,下腿,足背,足底)から表皮細胞を採取し培養,TRPV3の発現をRT-PCR,ウェスタンブロットにて解析し,各部位での発現の相違を検討した.温度刺激,TRPV3活性化物質による表皮細胞の増殖のコントロール実験や,表皮細胞株へTRPV3遺伝子を導入し強制現した細胞株を作成し,それらの細胞と正常細胞に温度変化やTRPV3活性物質を加え,細胞の増殖を詳しく調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体の種々部位でのTRPVの発現,活性化温度を比較検討した.いろいろな部位(胸部,背部,上腕,前腕,手背,手掌,大腿,下腿,足背,足底)から表皮細胞を採取し,培養した.TRPV3の発現をRT-PCR,ウェスタンブロットにて解析し,各部位での発現の相違を検討した.温度刺激,TRPV3活性化物質による表皮細胞の増殖のコントロール実験を行い,表皮細胞株へTRPV3遺伝子を導入し強制発現した細胞株を作成できた.それらの細胞と正常細胞に温度変化やTRPV3活性物質を加え,細胞の増殖を調べた.
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Strategy for Future Research Activity |
1)本症の遺伝子変異の導入をする。オルムステット病の変異として,TRPV3遺伝子のGly573Ser, Gly573Cysが比較的頻度が高い変異として報告されている.そこで,この変異を導入したTRPV3変異遺伝子を作成し,表皮細胞に過剰発現させる.そのような細胞で,本当にTRPV3の活性化が無刺激な状態でも起こっているのを確認する.つぎに,温度変化や刺激物質によって,導入表皮細胞に分化が誘導されるのか,インボラクリン,K10,トランスグルタミナーゼなどを角化関連マーカーを用いて検討する. 2)本症のモデルラットでの掌蹠角化の誘導をする。我々は本症と同じ変異をもつヘアレスラットを有し,実際に申請者はその変異を確認している.それらのラットでは,オルムステット病の脱毛,そう痒は再現されるが,前後肢の角化は組織学的に軽度である.ブラシによる刺激,TPAによる角化の誘導,接触皮膚炎などの刺激により角化が誘導されるか,臨床的,組織学的,表皮細胞の分化マーカーを評価して,分化の誘導を確認する. 3)オルムステット病の新しい観点からの治療法の開発を目指す。オルムステット病ではTRPV3の機能亢進が起こっている.そこで,その阻害剤の効果を見る.その阻害剤ルテニウムレッド,ジレテニウムヒドロフランの効果を正常表皮細胞でパッチクランプ法にて検討する.つぎに,変異を導入した表皮細胞でもその抑制作用確認する.モデルラットに外用し,過角化やそう痒に効果があるのかを見る.
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Research Products
(4 results)