2013 Fiscal Year Research-status Report
暗黙的な看護技術獲得過程とその影響要因に関する理論構築
Project/Area Number |
25670931
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Research Institution | Tokyo Ariake University of Medical and Health Sciences |
Principal Investigator |
前田 樹海 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (80291574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 雅子 東京有明医療大学, 看護学部, 准教授 (20563513)
北島 泰子 東京有明医療大学, 看護学部, 講師 (30434434)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 暗黙知 / 直感的把握 / ヒューリスティクス / 看護技術教育 / 技術獲得 |
Research Abstract |
平成25年度は、明らかな生命徴候の変化を伴わない患者の死期を予見できる看護職(保健師、助産師、看護師、准看護師)について、①事実性、②特性、③判断の根拠を明らかにするために、質問紙および聞き取り調査を実施した。首都圏4か所の医療関係施設等(一般病院病棟勤務看護職25名、精神科病院勤務看護職110名、私立看護大学の看護資格を有する教員、大学院生99名、看護協会主催の認定看護管理者教育課程参加者43名)で質問紙調査を実施した結果、168名(61%)から回答が得られた。明らかな生命徴候の変化によらずに患者の死期を予見した経験がある看護職は57名(34%)、そのような看護職を知っていると回答した者も63名(38%)存在していた。患者の死期を予見した経験のある看護職は、大卒/短大卒が専門学校卒より、看護師免許を持つ者が持たない者より、看護師としての経験年数が多いほど、有意に多い傾向が示された。かかる判断の根拠としては「においや死臭」「鼻が尖る」などの【看護職の認知した患者の変化】や「感謝のことば」「生まれた家に帰りたい」などの【患者の発言】、「胸騒ぎ」「肩が重い」などの【看護職自身の身体感覚】、「なんとなく」「いつもと違う」などの【言語化困難事象】に類型化された。明らかな生命徴候の変化によらず患者の死期を予見する看護師の存在は、自分に実際にその技術があるかどうかにかかわらず、3割以上の看護職に知られているという事実からは、看護現場においては一般的なエピソードであることを支持している。また、経験年数や教育背景、使用免許によって分布が異なることからは、かかる能力が後天的に身についたものであることを支持する。判断の根拠が誰でも認知可能ではない点からは、純粋な物理現象の変化ではなく、経験を積んだ看護職の認知活動の産物である可能性がある。これらを踏まえ、26年度にはさらなるデータの蓄積を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、1)患者の死期を予見する能力をもつ看護師への聞き取り調査と、2)26年度に予定している看護師へのフォーカスグループインタビューに使用するツールの開発、を計画していた。1)については、聞き取り調査に加え、病院看護職等への質問紙調査を行ない、かかる事象に関する多くの情報を収集することができた。2)に関しては第一段階としてアプリケーションの仕様の策定をすすめた。いずれも、ほぼ計画通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、質問紙、聞き取り(個別・グループ)による調査を進める。特性の違いによる当該技術の獲得の有無について25年度に明らかにされた点を踏まえて、より実証的なデータを得ることとする。具体的には、経験年数、使用免許、教育背景による当該技術の獲得の度合いの相違を明らかにするために、研究対象を層化し群間の比較を行い、暗黙的な技術獲得理論の精緻化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費の未達は、交付額を勘案して当初全国の予定で実施する予定であった調査を首都圏内に限定したためである。物品費の未達は、26年度に予定しているフォーカスグループインタビューを円滑に行うためのツールとして計上しているタブレットPCの購入が年度をまたいだためである。人件費の未達は25年度聞き取り調査協力者が想定数を下回ったこと、および、データ処理等、アルバイトを雇わず内製したことなどによるものである。 旅費に関しては、調査旅費、および発表予定の学会(第15回日本医療情報学会看護学術大会@盛岡、日本認知心理学会第12回大会@仙台、日本心理学会第78回大会@京都、第34回医療情報学連合大会@幕張)参加旅費として使用する予定である。物品費に関しては25年度より開発中のアプリが完成し次第、タブレットPCを購入予定である。人件費に関しては研究参加者への謝金および資料整理等のアルバイト代として使用予定である。
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Research Products
(5 results)