2015 Fiscal Year Annual Research Report
暗黙的な看護技術獲得過程とその影響要因に関する理論構築
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25670931
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Research Institution | Tokyo Ariake University of Medical and Health Sciences |
Principal Investigator |
前田 樹海 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (80291574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 雅子 東京有明医療大学, 看護学部, 准教授 (20563513)
北島 泰子 東京有明医療大学, 看護学部, 講師 (30434434)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 看護技術 / 暗黙知 |
Outline of Annual Research Achievements |
看護師による看取りまたは急変の予測が能力として成立するためには、予測が的中した割合のデータが必要となる。しかし、従来の回顧的、記憶依存の調査では、方法論的にそれらを確認することができず、むしろ、後知恵バイアス、仮説確証バイアスなどのヒューリスティックな思考を用いた時の歪みを除去しきれないことが後ろ向き調査の限界である。そこで、都内の病院の一般病棟に勤務する看護師を対象に、入院中の患者に対し、①転倒・転落②せん妄③病状の悪化④病状の変化⑤看取りの いずれかを予測した場合に情報端末を使用して記録をするよう依頼した。29名の看護師により情報端末への入力があった。予測が的中した看護師は14名、回数は40回(的中率39%)であった。事象別には「転倒・転落」は15名の看護師が37回予測し3名の看護師が4回的中、「せん妄」は10名の看護師が16回予測し7名の看護師が9回的中、「病状の悪化」は11名の看護師が32回予測し10名の看護師が20回的中、「病状の変化」は3名の看護師が3回予測し的中は0回、「看取り」は4名の看護師が15回予測し3名の看護師が7回的中していた。看護師の予測について、在籍する看護師数>予測できる看護師数>予測が的中する看護師数という関係が成立していた。今回選択した事象は、看護師なら誰でも予測できるものではなく、同じ病棟の中でも限られた看護師のみが予測できることが客観的に示された。「転倒・転落」の的中率が低い理由は予測した時点で防止対策をしてしまうからであると考えられた。的中率が低い事象は的中していないのではなく、転倒しないための対策が当該「予測」をもとになされていると考えられた。その他の事象については看護師が防止対策を行うことが困難であることを考慮すると、的中率の妥当性を支持するものと考える。
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Research Products
(9 results)