2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25700010
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
|
Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
石井 雅樹 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (10390907)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 認知科学 / 感性情報学 / 機械学習 / 表情認識 |
Research Abstract |
本研究の目的は,時間軸に対して頑強性を有する表情認識モデルの確立である.具体的には,初期に生成した表情特徴空間(表情認識モデル)が時間経過とともに進化・適応していくための手法を確立する. 本研究では,表情特徴空間の適応学習機能を追加学習,再学習,忘却という3つの機能に細分化し,安定性と可塑性を併せ持った追加学習アルゴリズムであるART(適応共鳴理論)と,人間の脳が持つ自己組織化と適応学習をモデルとしたCPN(対向伝播ネットワーク)を応用することにより,個々のアルゴリズムについて検討する.また,上述の機能をコミュニケーションロボットへ実装し,人間との長期的なインタラクションを通じて,表情認識機能の時間軸に対する頑強性を評価する. 平成25年度は,長期的な時間軸に対する頑強性の向上を目的とし,適応的な学習機能を有する表情認識モデルの生成手法について基礎検討を行った.具体的には,追加学習アルゴリズムのARTをCPNの写像空間に組み込んで表情特徴空間を生成し,適応学習の実現を試みた. 1名の被験者を対象として,22日間にわたって取得した喜び表情と無表情を用いて評価実験を行ったところ,提案手法により生成した表情特徴空間は,既存の知識(既知の表情パターン)を保持したまま,新たな知識(未学習の表情パターン)を追加的に獲得できることが明らかとなった(追加学習).また,一度獲得した知識は,表情特徴空間に一定期間保持されており,再学習を重ねるごとに少しずつ減少(忘却)していく様子を認めた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,表情認識モデルの適応学習に関する基礎検討を行った.CPNおよびARTを応用した提案手法により小規模な表情特徴空間を生成し,表情パターンの追加学習,再学習,忘却に関する評価実験を実施した.その結果,提案手法は既存の知識を保持したまま,新たな知識を追加的に獲得できることを確認した.また,一度獲得した知識は,表情特徴空間に一定期間保持され,徐々に忘却されることも明らかとなった. 追加学習の粒度の決定に寄与する適応共鳴理論の警戒パラメータについては,値を変えて評価実験を実施したものの,最適な値を自動的に決定する手法の確立には至らなかった.この点については,平成26年度も継続して検討する予定である. 上記の研究成果に加えて,平成26年度以降の検討課題も明確であることから,本研究はおおむね順調に進展している.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,適応学習において既存知識(学習済みの表情パターン)と新規知識(未学習の表情パターン)の共存を可能とする表情特徴空間(表情認識モデル)の再学習方法を明らかにする. 具体的には,表情特徴空間(CPNの写像空間)の次元数および空間サイズについて評価実験を行い,保有可能な知識数(表情パターン数)について検証することにより,最適な特徴空間の構造を導出する手法について検討する.また,追加学習(ART)の回数や特徴空間の再学習のタイミングを変更した場合の認識率を検証し,追加学習と再学習を切り替える際の最適なルールを導出する. 最終年度の平成27年度は,平成25年度,26年度に得られた結果を基にして,提案手法の性能および有用性を評価する予定である.評価に使用する表情画像は,一般に公開されているデータベースおよび独自に構築したデータベースを用いる.提案手法の評価では,同一被験者を対象とした自然な表情データの取得および長期的な表情データの蓄積がポイントとなる.そこで,平成26年度後期より表情画像取得システムの製作を行い,複数人のインタラクションを通じて同一被験者の自然かつ長期的な表情画像を取得し,独自の表情画像データベースの構築にも着手する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では,平成25年度に表情画像取得システムを構築する予定であったが,初年度予算の減額及び購入予定機器のモデルチェンジが発生したため,平成26年度に実施する計画に修正した.なお,平成26年度に実施予定であった研究項目を一部前倒しで平成25年度に実施している. また,スケジュールの都合がつかず,当初予定していた国際会議への参加を取り止めたため,海外出張費分を次年度に繰越した. 上記の表情画像取得システムの構築に係る機器については,平成26年度予算とあわせ,平成26年度中期に購入を予定している.平成26年度に実施予定であった一部の研究項目を平成25年度に実施していることから,当初計画の変更が研究進捗に与える影響は少ない. また,平成26年度も国際会議への参加を予定しており,平成25年度の繰越予算を海外出張費として使用する予定である.
|