2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25700010
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
石井 雅樹 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (10390907)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 認知科学 / 感性情報学 / 機械学習 / 表情認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,時間軸に対して頑強性を有する表情認識モデルの確立である.具体的には,初期に生成した表情特徴空間(表情認識モデル)が時間経過とともに,進化・適応していくための手法を確立する. 本研究では,表情特徴空間の適応学習機能を①追加学習,②再学習,③忘却という三つの機能に細分化し,安定性と可塑性を併せ持った追加学習アルゴリズムであるART(適応共鳴理論)と,人間の脳が有する自己組織化と適応学習をモデルとしたCPN(カウンタープロパゲーションネットワーク)を応用することにより,個々のアルゴリズムについて検討する.また,上述の機能をコミュニケーションロボットへ実装し,人間との長期的なインタラクションを通じて,表情認識機能の時間軸に対する頑強性を評価する. 初年度の平成25年度は表情特徴空間の適応学習に関する基礎検討を行い,提案手法が既存の知識(過去に学習済みの表情パターン)を保持したまま,新たな知識(未学習の表情パターン)を追加的に獲得できることを明らかにした. 平成26年度は,長期的な適応学習において既存の知識と新規の知識の共存を可能とする表情特徴空間の再学習法について検討した.具体的には表情特徴空間(CPNの写像空間)の次元数,写像空間のサイズ,再学習を行う際の学習データセットの生成法について検討し,保有可能な知識(表情パターン数)の検証を行うことにより,表情特徴空間の最適な構造の導出法に関する知見を得た.また,追加学習(ART)の回数や表情特徴空間の再学習のタイミングを変更した場合の認識率を検証し,追加学習と再学習を切り替える際の最適なルール導出法に関する知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は主に,長期的な適応学習において既存の知識と新規の知識の共存を可能とする表情特徴空間の再学習法について検討した.具体的には,表情特徴空間の次元数や空間のサイズ,再学習データセットの生成法について検討し,特徴空間の最適な構造を導出する手法について知見を得た.これにより,長期的な追加学習および再学習時に発生する冗長な知識の抑制が可能となった.また,新たな知識の獲得を目的とした追加学習,および,学習した知識の整理(相関関係の整理)を目的とした再学習を切り替える際のルールに関する知見を得た. 本研究の当初計画では,平成25年度に表情画像取得システムを構築する予定であったが,初年度予算の減額および購入予定機器のモデルチェンジが発生したため,平成26年度に実施する計画に修正している.上記の機器については平成25年度の繰越金を使用し,計画どおり平成26年度に導入済みである.なお,平成26年度に実施予定であった一部の研究項目を平成25年度に実施していることから,2年間が経過した現在,当初計画の変更が研究進捗に与える影響は少ない.また,平成27年度後半には提案手法をコミュニケーションロボットへ実装して評価実験を行う予定であるが,使用する機材についても今年度導入済みであり,準備を進めている. 上記研究成果および遂行状況に加えて,平成27年度の検討課題も明確であることから,本研究はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の平成27年度は,平成25年度,26年度に得られた知見を基にして,提案手法の性能および有用性を評価する. 評価に使用する表情画像は,一般に公開されているデータセットを利用することが考えられるが,提案手法の評価では,同一被験者を対象として撮影された自然かつ長期的な表情画像が必要となる.現状,前述の仕様を満足する表情画像データセットは見当たらないことから,当該年度のはじめから独自に表情画像データの収集を実施する.具体的には,複数人のインタラクションを通じて同一被験者の自然かつ長期的な表情画像を取得し,独自の表情画像データセットを構築する.これまでは1名の被験者を対象として評価実験を実施してきたが,上記データセットは複数名を対象として構築する. 本研究は人を対象とした研究であるため,機密保持・個人情報保護の観点から,顔画像の取得に際しては同意書への署名を徹底するよう心がける.また,本学および協力機関において倫理審査の申請を行い,承認を得た研究計画の下で顔画像データを取得する.
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