2013 Fiscal Year Annual Research Report
風評被害の低減・抑止策の検討―福島第一原子力発電所事故の社会経済的被害の量的検討
Project/Area Number |
25700035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
関谷 直也 東洋大学, 社会学部, 准教授 (30422405)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 風評被害 / 東日本大震災 / 原子力事故 / 安全 / 社会調査 |
Research Abstract |
本研究は、東京電力福島第一原子力発電所事故後の社会経済的影響のメカニズム・要因を実証的に検討し、風評被害の提言・抑止策を検討するものである。 本年度は風評被害に関するイメージや状況を全国的に把握するためにネットにて各都道府県300サンプル、計14,100サンプルの調査を、また福島県内においてこれを詳細に把握するために調査票調査として福島市、いわき市、会津若松市に居住する20代~60代の男女個人610サンプルの調査をおこなった。ここから東日本大震災後、消費行動・流通の面で残された課題として風評被害の問題を分析した。調査結果から、①健康への影響の不安よりも、放射線に関する検査結果、検査のすり抜け、検査体制への不安感などを減らすことが重要であること、②「野菜から測定される放射性物質はほぼ検出限界値以下であること」「現在、全量全袋検査やJAが検査を行っていること」を伝えることが消費回復のポイントであることがわかった。すなわち、これら検査に関するゆらぎない事実、ほぼ検出限界値以下であるという放射性物質の汚染が極めて低くなってきているという事実を伝え、これに類するパブリック・リレーションズ活動が重要であることがわかった。 また、これらの結果を元にしつつ、これらの原因となっている福島県内および原子力事故に関する心理的イメージを把握するため、被災地(盛岡市、仙台市、福島市・郡山市・いわき市)及び大都市圏(東京23区、名古屋市、大阪市)(各地域300標本)の調査を行い、現在分析しているところである。そして、風評被害および原子力事故による避難など被災地の行政の対応について調査を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連する旅行代理店、流通事業者に関する調査は、本研究と関連するところで茨城県に協力して実施した。本年度、この調査を元により広域にひろげて行う予定である。 全都道府県定点観測的調査については、昨年度の結果を踏まえ、福島以外の地域で地域差がほとんどみられなかったことから、盛岡、仙台、福島、東京、大阪、名古屋に絞って意識調査を実施しているところであるが、今年度もこれは継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
風評被害解決という社会的ニーズから、このテーマに関連する調査に参画し、様々な調査データを得る機会が多くなってきている。むしろこれを好機ととらえ、これらとの関係・連携に留意しつつも、これらを含めてより詳細なデータを蓄積し、分析を行うようにしているところである。 全都道府県定点観測的調査については、昨年度の結果を踏まえ、福島以外の地域で地域差がほとんどみられなかったことから、盛岡、仙台、福島、東京、大阪、名古屋に絞って意識調査を実施することとしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
関連する旅行代理店、流通事業者に関する調査は、本研究と関連するところで茨城県に協力して実施し、同時に本研究としては行えなかったため、本予算からは支出しなかった。 関連する旅行代理店、流通事業者に関する調査は、本研究と関連するところで茨城県に協力して実施し、同時に本研究としては行えなかったため、本予算からは支出しなかった。2014年度、この2013年度の調査結果を元により広域にひろげて実施する予定である。
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