2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25704015
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
|
Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
深澤 太郎 國學院大學, 研究開発推進機構, 助教 (60453552)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 考古学 / 中世史 / 近世史 / 宗教学 / 修験道 / 伊豆国 |
Research Abstract |
平成25年度は、主に基礎的な史資料・情報の整理と、伊豆修験の辺路ルートに沿った拝所遺跡の現地踏査を実施した。なお、当研究の実施にあわせ、國學院大學博物館にて研究方法と成果の見通しを示したテーマ展示『伊豆修験の道をゆく』(平成25年5月18日~9月9日)を開催した。 1、史資料の整理 具体的には、研究代表者が所属する國學院大學や、地元の教育委員会等による既往の考古学的調査研究成果を悉皆的に整理し、伊豆修験成立の背景にあった経塚遺跡等について情報を収集した。また、熱海市教育委員会のご協力を得て、伊豆修験の首座を務めた旧円光院の円光院文書(未公表)も整理することができた。従来、伊豆修験の概要についての史料は、『伊豆峯次第』・『修験故実書上』などが知られていたが、円光院文書の分析を進めることによって、一層詳細な修験者の姿が明らかになるであろう。 2、拝所遺跡の現地踏査と「拝所マップ」管理・公開 年度後半には、史料の検討から復元できた辺路ルートを訪ね、拝所遺跡の踏査を実施した。辺路ルートの全てを入念に踏査したいところではあるが、『伊豆峯次第』に見える拝所・参籠地点だけでも約250ヶ所を越えている。そこで、文書に特記事項のある地点や、参籠する宿所、修験窟といった、考古学的な踏査成果の有望な地点を優先しつつ、研究代表者による先行研究でも未踏査であった事例の調査を進めた。当年度は、主に伊豆半島東海岸を中心に、15地点の拝所遺跡を踏査することができた。残念ながら、沿岸地帯の拝所遺跡では、過去の津波等によって埋蔵文化財の包含層が流出してしまっている地点もあったが、南北朝期に遡るかと思われる石造物や、下田旧満蔵院の修験窟なども新たに確認することができ、伊豆修験の考古学的様相が詳らかになってきた。なお、踏査成果については、順次Web上の「拝所マップ」にて更新・公開している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体的に見れば、当初計画に従って研究を進めているが、平成25年度は計画していた現地踏査が1回しか実施できなかった。そこで、本来補足的な踏査を行う予定であった平成26年度に、追加調査を実施する必要が生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の眼目は、史料に見える伊豆修験の姿を、具体的な考古資料と対応させながら明らかにしていく点にある。そこで今後は、平成25年度に調査できなかった地域の再踏査を進めつつ、研究成果の総括に向けた活動に軸足を移していく。また、このような活動を通して得られた(i)伊豆修験に関する史資料と研究の現状把握、(ii)伊豆修験の構造・歴史像、(iii)他の霊場との比較に関する総括研究成果を報告する。また、これと同時に、研究成果の一部を國學院大學博物館にて展示することも企画したい。 更に、年度後半には、公開系事業(WEB公開も含む)を推進し、調査成果報告書を刊行する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、当初3回計画していた現地踏査を、1回しか実施することができなかった。そのため、主に現地踏査2回分の旅費と、その準備・実施に係る人件費の未執行分によって、次年度使用額が生じることとなった。 昨年度未実施の現地踏査計画については、平成26年度に繰り下げることとする。但し、年度後半は成果公開に向けた準備を進めていくため、なるべく秋口までに主たる現地踏査を終えることとする。
|
Research Products
(3 results)