2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25704015
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
深澤 太郎 國學院大學, その他部局等, 助教 (60453552)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 考古学 / 中世史 / 近世史 / 宗教学 / 修験道 / 伊豆国 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、前年度に引き続き当研究の基盤となる史資料の整理を進め、伊豆峯拝所データベースの決定版公開に至る最終局面まで歩みを進めることができた。一方、後述する通り現地踏査に多くの時間を割くことができず、次年度に課題を残している。 1、史資料の整理 伊豆修験の拝所を列挙した『伊豆峯次第』をベースに、前年度から整理を進めてきた伊豆峯拝所データベースについては、既に250ヶ所を超える地点の情報を点検してきた。その上で、改めて『豆州誌稿』をはじめとする地域史料とデータベースとの相互参照を進めた結果、同じ拝所でも史料によって名称が異なるため、同一地点に複数の整理番号を付与している事例など、なお若干の混乱が認められた。そこで、年度内に修正を進め、現地画像等との統合を残すまでに作業を進めた。なお、円光院文書についても、デジタル化のための入力を終えている。 2、拝所遺跡の現地踏査 『伊豆峯次第』が拝所を列挙するにとどまる一方、『豆州誌稿』は近世における拝所の概要に触れている。平成26年度は、下田市心壇堂岩屋の測量を実施した以外、現地踏査を進めることができなかったが、この『豆州誌稿』の点検を進めた結果、近世段階から埋蔵文化財の散布が記録されている拝所が散見された。伊豆峯辺路のルートは海岸に沿っているため、想定より遺跡の遺存状態が良くないが、史料的な根拠に基づいて踏査ターゲットを定めることができた点では大きな成果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
史資料の整理に基づくデータベース作成については、概ね当初計画に沿って進捗しており、予想以上の成果を上げてきた。一方、現地踏査については、平成26年度中の進展が乏しく、主要地点の踏査は進めてきたものの、『豆州誌稿』所載の有望調査対象が踏査未了となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、近世の史料に記録された伊豆修験の実態について、拝所に残されている考古学的な情報と対応させつつ、その全体像を明らかにする点にある。従って、今後は昨年度に進捗が見られなかった有望踏査対象の現地調査を進め、研究成果の公開を加速していく。具体的には、(ⅰ)伊豆峯辺路データベース決定版の公開、(ⅱ)踏査地点の埋蔵文化財等に関する成果公開、そして(ⅲ)総括をまとめていくことになる。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、例年の伊豆峯拝所比定地踏査に加え、熱海地区の個人所蔵資料等の調査を実施する予定であったが、年度半ばの段階で調査先との日程調整が不首尾に終わった。そこで当初計画を変更して伊豆峯拝所データベースの補完に軸足を移し、『伊豆峯次第』と『豆州誌稿』の点検を進め、拝所比定地の現地特定と、関連書誌の収集に傾注することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に実施した拝所比定地の所在地特定成果を踏まえ、平成27年度前半は現地での踏査と資料調査を集中して行い、後半は調査成果の整理・公表を進めていきたい。未使用額は、その経費(旅費・人件費・印刷費等)に充てることとしたい。
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Research Products
(4 results)