2014 Fiscal Year Annual Research Report
自治体合併の経済学的検討:平成の大合併のインパクト分析
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25705007
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
岩田 和之 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (90590042)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 自治体合併 / 水道事業 / 効率性 / 定量評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は国内で行われた『平成の大合併』に対して、経済学的な視点から定量的評価を試みる。この合併は世界的にも類を見ない規模のものであり、そのために費やされた行政費用は少なくはない。それにもかかわらず、経済学的な視点でこの合併の評価を行なっている研究はほとんどない。本研究は自治体合併に対して、複数の視点からその影響を定量的に評価することを試みる。
平成26年度は平成25年度に収集したデータを用いて、自治体合併によって水道事業体の運営の効率性が改善したかどうかを分析した。分析の結果、合併を経験した自治体は、そうではない自治体に比べ、水道事業の効率性が約1%高いことが示された。したがって、自治体の合併を水道という一つの財で評価した場合、1%ではあるものの、効率性改善に寄与したといえる。そして、この1%改善を温室効果ガスに換算したところ、2004年から2011年までの8年間で、合計19.6万t-CO2の削減に相当することがわかった。そのため、合併によって、温室効果ガスの削減ももたらされたといえる。また、平成25年度に引き続き、自治体別の選挙データおよび、地価データの収集も行い、データベースの作成も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、水道事業についての合併の影響を分析し、その論文を執筆した。論文は国内査読付き雑誌に掲載されている。また、平成26年度中に収集予定であったデータも全ては入手することができていないが、おおむね予定通り収集が完了し、分析可能なデータベース化をおおむね作成できた。そのため、本研究の達成度は概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、自治体合併の影響を評価するために水道事業以外の分野、犯罪や、土地、選挙等のデータベースの分析を試みる。そして、平成27年度中に、これらの分析を完了し、論文の投稿を試みる。
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Causes of Carryover |
平成27年度の研究費は概ね予定通り執行している。ただし、投稿した論文を英語雑誌ではなく、日本語雑誌にしたため、英文校閲費を使用していなかった。そのため、繰越金が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度については人件費がやや不足することが予想されるため、繰越金については人件費(データ整備、加工)に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)