2015 Fiscal Year Annual Research Report
超音速ガスジェットレーザー分光法を用いた新しい電磁モーメント測定手法の確立
Project/Area Number |
25707022
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
園田 哲 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器研究センター, 仁科センター研究員 (60525583)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 低速RIビーム / ガスセル / レーザー核分光 / ガスジェット / パラサイト実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
理化学研究所仁科加速器センターに建設した低速RIビーム実験施設(SLOWRI)に当該テーマである超音速ガスジェットレーザー分光手法を組み込んだパラサイト型レーザーイオン源(PALIS)を完成させた。本装置は、RIビーム生成分離装置(BigRIPS)のビーム分離過程において除去されるRIビーム(希少な不安定原子核を多数含む)を収集し、主実験と並行して低速RIビームを生成し、精密測定実験を可能にするものである。これまで本機構に付随する様々な装置、具体的には共鳴イオン化用レーザー、ガスサーキュレーションシステム、長距離レーザービーム輸送のための光学系および関連するすべての機能を遠隔操作できるネットワークシステムを完成させ実際にオンライン実験が実行できる状態まで到達した。 BigRIPSから供給されるRIビームを利用してオンラインコミッショニング実験を行った。その結果主実験に干渉なく低速RIビーム実験可能であることを確認した。高速で打ち込まれたRIビーム(不安定銅同位体)を減速停止させ、ガスセルからの引き出しを確認した。今回はイオンビームと中性原子ビームを分離する前の段階で調査したためレーザーによるイオン化を確認できる内容ではなかったが、今後、質量分離を行いレーザー分光実験が実行可能な状態で実験する。 ガスジェットレーザー分光実験に使用予定である狭帯域チタンサファイアレーザーをJSPS海外特別研究員の協力により開発を進め、真空中における共鳴イオン化分光において安定ジルコニウム同位体の同位体シフトによる同位体分離を確認した。これにより数十MHzレベルの線幅のレーザーを用いてガスジェットレーザー分光を試すことができるようになった。 装置に付随するガス純化装置の性能評価を行った結果、ガス中に含まれる水分の濃度を1ppb以下まで抑制できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究はガスジェットレーザー分光手法を確立してRIビーム生成分離装置(BigRIPS)から供給されるRIの核磁気モーメント測定を目指している。仁科加速器センターに建設した低速RIビーム実験施設(SLOWRI)の基幹装置であるパラサイトレーザーイオン源(PALIS)に本手法を組み込んで開発を進めているためPALIS装置を確実に機能させることが先決となりその分の開発時間により遅れが生じている。これまでの開発を持ってPALIS装置を完成させ実際にオンライン実験できる状態まで達成できたので今後超音速ガスジェットレーザー分光を精力的にはじめいく計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究テーマである超音速ガスジェットレーザー分光手法を組み込んで完成させたパラサイト型レーザーイオン源はRIビーム生成分離装置(BigRIPS)実験時は常にレーザー分光実験可能となる。装置調整を目的としたマシンタイム取得はなかなか困難な状況であるが、当パラサイト手法では日々の調整を常時進めていくことができる。レーザー分光の対象となるRIは主実験のビーム種に依存するが大強度でかつ希少な不安定原子核を多数含むビームが常に得られるので適宜レーザーの波長を調整して未知電磁モーメント測定を包括的に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
低速RIビーム実験施設(SLOWRI)に配備された新しい装置を立ち上げ・整備するための時間を必要とした。このため全体の計画に遅れが生じており、当初予定していた消耗品の購入が次年度へ持ち越されることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験を遂行するために不可欠な部品や機器に問題がおこればその修理・調達に充てなくてはならない。しかし順調に進めば基本的に消耗品や旅費など効率的な予算の配分において使用する。
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