2013 Fiscal Year Annual Research Report
自律的な微小管輸送によるパッシブ型分子分離システム
Project/Area Number |
25709018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横川 隆司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10411216)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分子操作 / モータタンパク質 / ナノシステム / MicroTAS / MEMS / キネシン / 微小管 / 電気泳動 |
Research Abstract |
平成25年度は,課題1として掲げた微小管シードの長さ制御と各種荷電粒子の付加技術の確立を実現した.極性ラベル微小管の重合方法を応用し,GMPCPP存在下において短い微小管シードをビオチン化し,さらに重合を進めることでマイナス端が局所的にビオチン化した微小管を製作した.このプロセスにおいて,微小管シードの長さを均一にすることができれば,そこに付与する電荷量を制御することが可能になる.そこで,GMPCPPを用いた重合速度の制御に加え,シリンジを用いて剪断力を与えることでシードの長さ調節をおこなった.これにより,重合直後は長さ3.09 ± 1.81 um, PDI = 1.34であったシードを,長さ2.28 ± 0.99 um, PDI = 1.19と均一することが可能になった.シードに付加する分子として,本研究では長さ異なる3種類のdsDNA(20, 50. 80 mer)を設計した.いずれも5’端にAlexaFluor 488あるいはビオチンを導入したssDNAを準備し,それらを二本鎖にすることで一端がAlexaFluor 488,もう一端がビオチン修飾されたdsDNAを得た.シードを予めストレプトアビジンで修飾しておき,このビオチン化DNAを結合させることでシードに特異的にDNAを付加することが可能になった.この手法は,微小管シードの伸張後でも有効であり,マイナス端の2 um程度のみにDNAを付加することが可能となった.さらに,得られた微小管はいずれも運動能を有し分子輸送担体としての機能があることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度においては,当初予定していた課題1が順調に推進できその成果が得られている.当初懸念していた,微小管シードへの分子付加による運動アッセイへの影響も小さく,本研究が目指す分子分離システムに利用できる可能性を十分示すことができた.既に,微小管シード部分のみの電気泳動移動度の測定も試行実験を進めている段階であり,付加分子に依存した電気泳動移動度の差を得られそうである.このような状況から,平成25年度に予定していた課題に加えて,次年度の課題に取りかかる準備が進んでおりおおむね順調に進んでいると考えられる.これらの成果の一部は,マイクロナノシステムに関する国際会議であるTransducersにおいて採択され,さらにOutstanding Poster Presentation Awardのファイナリストになるなど当該分野においてその成果は認められつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
既に,平成26年度の課題に取り組み始めており,今後もこのペースで研究を推進する.試行実験により,微小管シードに付加した分子に依存して電気泳動移動度の差が得られることが確認できても,その電気泳動力が「分子分離」という最終目的において有効に働くかどうかは現状では未知の要素が多い.つまり,微小管の先端(自由端)に電気泳動力を与えた場合の運動方向の制御について,理論上は数~数10 umの運動方向の差が得られることがわかっているが,これを分子分離に有効に利用できるかを今後検証する必要がある.これには,平成26―27年度に予定している微小管シードの電気泳動移動度の評価と微小流体デバイス内での運動評価を繰り返しおこない,最適な付加分子の選定とデバイス設計をおこなう必要がある.これには複数回の試行錯誤が必要であり,本研究課題の前半の研究項目が予定通りあるいはそれ以上に進んでいることは,今後の課題解決に大きなアドバンテージになる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた国際学会などに学内用務の都合で参加できず,旅費を全く使用しなかったため. 平成26年度以降,研究成果を発表する機会が増えることが予想されるため,学会出張などの旅費として使用する予定である.
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] 電界中での微小管運動曲率の定量的評価2013
Author(s)
磯崎 直人, 中原 佐, 安藤 駿, N. K. Kamisetty, 新宅 博文, 小寺 秀俊, E. Meyhofer, 横川 隆司
Organizer
第27回化学とマイクロ・ナノシステム研究会(27th Cheminas)
Place of Presentation
仙台市
Year and Date
20130523-20130524