2015 Fiscal Year Annual Research Report
自律的な微小管輸送によるパッシブ型分子分離システム
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25709018
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横川 隆司 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10411216)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノマシン / ナノバイオ / マイクロ・ナノデバイス / 生物物理 / 分子モーター / 分子操作 / MicroTAS / 電気泳動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度前期において,PDMS-ガラスの微小流体デバイス内において微小管の表面電荷密度を反映して分離できることを実証した.また,ヌクレオチドの違いにより微小管の剛性を変化させることによっても,デバイス内での分離が可能であることを試行実験において確認した.この際の分離効率は7~8割程度であった.このため,表面電荷密度と剛性をともに改変することで,より高効率な分子分離が可能になると考え,微小管の剛性改変技術の検討と同時に剛性測定方法のアルゴリズム開発をおこなった. 微小管の剛性改変技術では,ヌクレオチドの違いに加え,微小管重合速度の違い,微小管結合タンパク質の違い,およびこれらの複数の組み合わせによって7種類の微小管を準備してその測定をおこなった.これまでにも,微小管の合成に関する報告は多いが,その値は2桁もばらつき一定の見解が得られていない.本研究によって,重合速度が遅いほど,また微小管結合タンパク質が多いほど剛性が高くなることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度においては,当初予定していた課題3までが順調に推進できその成果が得られている.微小流体デバイスの開発はプロトタイプであるが,電気泳動移動度および剛性の違いによって微小管を分離できることがデバイス内で実証できた.最終年度である平成28年度には,これら2つの変数を制御することで効率的な分子分離システムを提案する準備が整っておりおおむね順調であると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
微小管の剛性についての知見は平成27年度に新たに得られたものであり,今後は剛性の差を最も効果的に得られる条件を検討する.さらに,平成26年度に確立した表面電荷密度の改変技術を併用することで,より曲がりにくい,あるいはより曲がりやすい微小管を準備する.最終的には,これらの微小管に適した微小流体デバイスの最適化をおこない,効率的な分子分離システムの実証を目指す. また,微小管の剛性に対しては,生物物理学的な視点からその意義を先行研究と比較して,一定の解釈を得ることを目指す.将来的には,in vivoでの微小管剛性が細胞内輸送にどのように影響しているかを検証する.
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Research Products
(13 results)