2013 Fiscal Year Annual Research Report
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25709041
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
甲山 治 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (70402089)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水循環 / 泥炭湿地 / 炭素排出 / 火災 |
Research Abstract |
対象とするギアムシアックチル・ブキットバトゥバイオスフィアリザーブは,中央に自然林保護区コアゾーン(17.9 万ha)が,その自然林コアゾーンを囲む林業企業が保有する緩衝ゾーン(22.2 万ha),更に外側を囲むように,住民によるオイルパーム植栽を中心とした遷移ゾーン(30.4 万ha)が存在する.2014年度は住民が管理し,火災が頻発する遷移ゾーンにて水文フラックス観測を行った.遷移ゾーンでは集落,ゴム林,アブラヤシプランテーション,水田,耕作放棄地が存在し,さらに大小様々な排水路が存在する.そこで集落に定点気象観測所を,プランテーション,水田,耕作放棄地に移動式気象観測所と水位計・土壌水分計を設置し,水文モニタリングを開始した.特にタンジュンラバン村周辺の耕作放棄地においては過去に火事の起こった地域を調査し,さらには衛星画像を用いてモニタリングを行った. また泥炭湿地の修復を見据えて,泥炭湿地に適した樹種であるビンタンゴルやジュルトゥンの育種を行った.その樹種の生育に関する調査を実施しデータを収集した.また荒廃泥炭地の診断に関する調査を開始し,現地大学の講師らや学生と共に,泥炭湿地の荒廃地を対象に二酸化炭素フラックス連続観測システム,土壌呼吸(泥炭分解)・メタンフラックス観測・地下水位連続観測と地下水水質モニタリングを開始した.2014年2月には現地住民との共同で,排水路の埋め戻しによる再湿地化実験を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東南アジア熱帯域に顕著にみられる荒廃した熱帯泥炭地における水循環を解明するため,様々な水文観測を実施した.代表的な荒廃泥炭地の水・物質循環機構,土壌内の有機物や分解者の分布に関する情報収集のための集中的な観測プロットを設置した.その結果,荒廃した泥炭地では,元来の泥炭湿地林とは水・物質循環の成り立ちや分解者の多様性に大きな差異があることが示唆された.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も気象・水文観測,ならびに衛星画像の解析を継続する.得られた気象・水文データを用いて水位変動解析を行う.地下水位の長期モニタリングに加えて,土壌サンプリングと透水試験を行い土壌の透水係数を推定し,簡易的な地下水流動解析を行う. さらには観測データをもとに,水文陸面過程モデルと非静力数値領域気象モデル雲解像モデルの結合モデルを用いて数値計算を行い,まずはメソスケール(数10~数100km規模)において大規模植林という地表面の大幅な変化が降水に与える影響を評価する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年5月から雇用予定であった研究員の着任が,前職の都合もあり11月にずれ込んだため. 今年度は6月までには観測機器を購入する.8月には対象地域であるインドネシアに輸送・設置することから,輸送設置費としても使用する.さらには研究員を6ヶ月程度雇用予定である.
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Research Products
(2 results)