2015 Fiscal Year Annual Research Report
生物多様性の消失による生態系機能の減少の仕組み:種の機能形質に基づく包括的理解
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25712036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 雄大 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60550077)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 生態系機能 / 炭素フラックス / 機能的多様性 / 生態系の安定性 / 純一次生産 / 生態系サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中国内モンゴルの自然草原において種を除去する実験操作によって、生物多様性の消失が単一および複数の生態系機能とその安定性に与える影響とその仕組みを植物のもつ形質に基づいて解明することである。昨年度作成を完了した主要草本種20種についての単植区においては、植物種の安定的な生育が認められ、本年度その一部を刈り取って単植区の生産量データを獲得した。また本年度においても、植物の生育期間である7月初旬から9月初旬にかけて、実験サイトにおける多様性レベルが操作された128のプロットにおいて各種調査を行った。具体的には、各プロットにおける種組成(各種の被度および個体数)の調査、密閉チャンバー法を用いた炭素フラックス測定を行った。 さらに本年度は、昨年度および本年度得られたデータについて解析を行った。地上部生産量、純一次生産(gross primary production)、生態系呼吸(ecosystem respiration)、地下部生産量を応答変数、植物種の除去操作で変化する機能的多様性および形質の加重平均値を説明変数とし、それらの関係性を解析した。地上部生産量や純一次生産といった地上部の生態系プロセスを代表する変数は、植物種の葉の形質(比葉面積や葉の窒素含有率等)の加重平均値によって説明された。この結果は、これらの生態系機能がアバンダンスの多い種の特異的な形質に依存していることを示唆している。一方、生態系呼吸や地下部生産量といった生態系プロセスは、植物種の根の形質(細根の重量あたりの長さ等)の機能的多様性によって説明された。つまり、対象とする生態系機能によって、重要となる植物群集の生態的な要素が異なることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた調査工程にそって、滞りなく研究が進んでいる。次年度は単植区における炭素フラックス測定も行う予定である。次年度における研究の総まとめに向けて、研究は順調に遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も、当該年度と同じ調査および測定を繰り返し行う。次年度は単植区における炭素フラックス測定も行う予定である。実験区と単植区の比較により、地上部生産量および炭素フラックスに関する各種パラメータについての正味の多様性の効果を定量化する。4年間のデータを利用して、生物多様性の消失による生態系機能の安定性の変化とそのメカニズムについての解析を行い、論文を執筆する。また、生態系機能の多機能性について定量化し、生物多様性消失による多機能性の変化とそのメカニズムを検証する。
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Causes of Carryover |
当該年度は、土壌中の窒素無機化速度の測定を新たに5月より行ったため、昨年度よりも調査期間が長くなり、サンプル分析に要する費用が予定よりも大きくなった。しかしながら、他の予算源からこの費用を充当することができたため、当該研究費からの支出を大幅に抑えられることになった。そのため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、当該年度のようなその他の予算源が存在しないため、当該研究に関わる支出を全て当該研究費でカバーする必要がある。また次年度より、新たな調査項目が増え、サンプル分析や調査旅費などの支出が増加することが予想される。そのため次年度使用額については、これらの支出の増加に補填する予定である。
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Research Products
(6 results)