2015 Fiscal Year Annual Research Report
病院感染のパフォーマンス指標の開発と医療技術評価への応用
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25713029
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
福田 治久 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30572119)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 手術部位感染 / 標準化感染比 / 抗菌薬 / 多剤耐性菌 / 薬剤感受性 / DPC / JANIS |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,(1) 手術部位感染のリスク因子の検証,(2) 平成26年度までに開発した手術部位感染標準化感染比の算出モデルを用いた病院間パフォーマンスのフィードバックの有効性研究,(3) MRSA感染による追加的医療資源の推定,に関する研究を行った. (1) 手術部位感染のリスク因子の検証では,JANIS「手術部位感染部門データ」および「DPCデータ」を用いて,消化器系8手術(虫垂,肝胆膵,胆嚢,結腸,食道,胃,直腸,小腸)を対象に手術部位感染のリスク因子について検証した.その結果,JANIS手術部位感染部門においては収集されていない,輸血量,糖尿病,ステロイド薬使用が手術部位感染のリスク因子であることが明らかになり,手術部位感染サーベイランスとして収集することの必要性が見出された. (2) 病院間パフォーマンスのフィードバックの有効性研究では,平成26年度までに開発した手術部位感染標準化感染比(SIR)の算出モデルを用いて,研究協力病院のSIRを算出し,SIRをフィードバックした病院とフィードバックしていない病院とのSIRの変化に関する研究を行った.平成27年度までにフィードバック実施後のデータ収集までを完了し,平成28年度において病院間パフォーマンスのフィードバックの有効性について統計解析を行う予定である. (3) MRSA感染による追加的医療資源の推定研究では,JANIS「全入院患者部門データ」と「DPCデータ」を活用した統計解析を行った.特に,当該研究領域において問題視されている時間依存バイアスに対処するための研究手法の開発と実推定を行った.MRSA感染を例に,時間依存バイアスに対処したpropensity scoreマッチング解析を行い,MRSA感染による追加的医療資源を推定した.時間依存バイアスは,追加的医療費を1症例あたり50万円程度過大評価させる可能性を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度までに研究協力病院の体制構築と本研究課題を検証するためのデータ収集が完了した.平成28年度は統計解析を残すのみとなっていることから,当初予定していた研究課題を滞り無く遂行できると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までに倫理審査承認,研究データベースの構築,解析用プログラムの開発などの研究基盤の整備を完了させており,平成28年度は統計解析を重点的に実施できる.
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Causes of Carryover |
平成27年度は当初予定通り研究が進み,研究経費も概ね予定通り使用したものの,わずかではあるものの次年度使用額が発生した.平成27年度研究成果を社会に公開するためのwebページの作成を予定しており,次年度使用額を当該webページの作成費用にあてる予定である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は,本研究課題の最終年度として,これまでの研究成果を積極的に論文発表および学会発表する予定であるため,成果報告に要する旅費ならびに論文投稿料等を計上した.また,必要に応じて,調査協力病院に研究成果のフィードバックのために病院訪問をする予定であるため,旅費を計上した.さらに,統計解析の解析補助として人件費を計上した.
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Research Products
(22 results)