2013 Fiscal Year Research-status Report
ドームふじコアを使った新たな気温復元手法の開発と過去4000年の東南極の気候復元
Project/Area Number |
25740007
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
小端 拓郎 国立極地研究所, 研究教育系, 特任助教 (00527129)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 気候変動 / 南極 / 氷床コア / ドームふじ / 気温 / 同位体 / 完新世 / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
これまで、研究代表者が開発した氷床コア中の空気を使った気温復元手法を用いて、過去4000年間のグリーンランドサミットの気温変動を正確に復元した (Kobashi et al., Climatic Change, 2010, Geophysical Research Letters, 2011)。しかし、ドームふじはグリーンランドサミットに比べて20℃近く気温が低く降雪量も10分の1近くと環境が大きく異なる。そのため、ガスの分別プロセスがグリーンランドサミットとは若干違う。ドームふじにおけるフィルン層内には、Convective zone(空気が大気とよく撹拌されている層)の厚さが、おおよそ8mとグリーンランドの0m-2mよりも大きいことが知られている(Kawamura et al., Earth Planetary Science Letters, 2006)。このConvective zoneでの空気の分別プロセスと、空気が氷に閉じ込められる際に起こる分別プロセスを理解することが温度復元を行うために不可欠である。最近の研究によると、ドームふじ付近においてConvective zoneの厚さは氷期から間氷期を通じてあまり変動がないことが分かっている(Kawamura and Severinghaus, AGU abstract, 2012)。つまり、アルゴン窒素の同位体比から、気温を復元できる可能性が高い。過去4000年の南極の気温復元を行うことで、地球軌道、太陽活動、火山活動、温室効果ガスの変動が、どのように南極の気温変動に影響したかを確かめることができる。また、研究代表者が行った過去4000年のグリーンランドの気温復元データと比べることにより、地球規模の気温変動の原因を解明することが可能となる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度前半に、氷床コア中の空気の抽出装置の改良と質量分析計の高精度分析のための調整を行った。圧密・熱伝導モデル(Goujon et al., Journal of Geophysical Research, 2003)を使った計算手法の改良を行った。25年度の後半には、ドームふじコアの過去4000年の氷床コアサンプルの窒素、アルゴン同位体比の計測するを終了した。当初予定した、フィルン空気とフィルンの分析はまだ途中であるが、アルゴン・窒素の同位体比の分析が終了し、気温復元が可能であることを確認したことが、予定以上に進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画通りに、熱伝導・圧密モデル(Goujon et al., JGR, 2003)、ドームふじの積雪量データ(Kawamura et al., Nature, 2007)、掘削孔の温度プロファイルデータ(本山秀明、personal communication)を用いて、過去4000年のドームふじ表面気温の復元を行う。復元した気温データをもとに、百年から千年スケールにおける南極気温変動のメカニズムを検討し、全球から半球規模の気候変動との関連性などを調べる。それらの気候変動に関連した研究結果を、論文にまとめ投稿する。また、フィルン層内における空気分別や、過去4000年のフィルンの厚さ変動など、雪氷学的知見に関する論文を執筆・投稿する。
|
-
-
[Presentation] 過去2000年のグリーンランド気温変動の復元2014
Author(s)
小端拓郎, J. Box, A. Muto, C. Buizert, B. Vinther, 東久美子, 川村賢二, T. Blunier
Organizer
極域における過去の気候・環境変動
Place of Presentation
北海道大学低温研究所
Year and Date
20140305-20140306
-
-
-
-
-
-