2013 Fiscal Year Research-status Report
赤道直下の氷河における生物活動による氷河の融解加速
Project/Area Number |
25740012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイ |
Principal Investigator |
植竹 淳 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイ, 新領域融合研究センター, 融合プロジェクト特任研究員 (40455473)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 氷河 / 温暖化 / 熱帯 / ウガンダ / 氷河融解 / 雪氷生物 / コケ |
Research Abstract |
平成26年2月にウガンダ、ルウェンゾリ山において雪氷生物試料の採取と観測を行った。氷河上には直径約1-3cm、厚さ約1-2cmの蘚類Ceratodon purpureusの無性芽の集合体(Glacial Moss Gemmae Aggregation: GMGA)が多く分布しており、氷河上での空間分布を把握する為に、幅約200~300m、長さ約1kmの氷河(Stanley Plateau)上の計18カ所で、直径が2cm以上に発達したGMGAの重量測定をおこなった。その結果、これらの構造が氷河末端部、または側面部から約140m以内の場所で多いのに対して、それ以上の場所では全く観察されない事が明らかとなった。GMGAや雪氷微生物の増殖のため、氷河の表面アルベドが顕著に低下する事が知られているが、GMGAが高密度で存在する末端部付近では特に低く、アルベド=0.05(±0.01, n=5)であった。 氷河上のリン酸塩濃度は、グリーンランドなどの他の氷河に比べて値が高かった(平均約27ppb)。また、氷河上流に残っていた積雪の硝酸塩、アンモニウム塩濃度は、微生物が多く生息する氷表面に比べて、それぞれ約12.7倍、24.8倍(それぞれ395ppb, 345ppb)高く、これの氷河上への供給源が氷河外部にある事が示唆された。 また、これらコケ植物の生育に関連する現地の環境情報を取得する為に、氷河上に簡易気象ステーション(気温、光合成有効放射)、消耗量観測用ステーク、インターバルカメラの設置を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた観測、分析項目をほぼ終了する事ができた。また当初の予定以外に、氷河上のコケ植物の生育と密接に関連していると考えられるGMGA及び周辺の氷河表面のバクテリアの16S rRNA遺伝子の解析をおこなう事ができた。これによりコケ植物と他の雪氷生物との関連性を、推察することができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに採取した氷河上のコケ植物(Ceratodon purpureus)の遺伝子解析を進める。特に近年急速に利用が普及化した次世代シーケンサーを用いて、核ゲノムの解析を進め、氷河上に生育するCeratodon purpureusとそのほかの地域に生息する同種の比較を行い、氷河上という極限環境に侵入することができた遺伝的ポテンシャルを探索していく予定である。
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Research Products
(5 results)