2015 Fiscal Year Annual Research Report
製鋼スラグを鉄分溶出源とする多孔質な海藻増殖ブロックの実用化に関する研究
Project/Area Number |
25740043
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
尾上 幸造 宮崎大学, 工学部, 助教 (50435111)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄鋼スラグ水和固化体 / 多孔質 / 鉄溶出 / 腐植質 / 圧縮強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は,多孔質型鉄鋼スラグ水和固化体(POSSC)の強度改善方法および長期的な鉄分供給性能について検討した。その結果,(1)鉄分溶出源である溶銑予備処理スラグを被覆するペーストの水結合材比(0.19,0.21,0.23,0.25の4水準)がPOSSCの圧縮強度に及ぼす影響は小さいこと;(2)腐葉土の種類や添加の有無にかかわらず,試験開始から60日間経過時点において,POSSCから溶出した鉄は溶存鉄として人工海水中に一定濃度存在すること;(3)設計空隙率が大きいほど溶存鉄濃度は大きくなること;(4)腐植質を添加することにより溶存鉄濃度が大幅に増大すること,等が明らかとなった。 研究期間全体を通じて以下の知見が得られた。(1)一般的なポーラスコンクリートと同様に,POSSCにおいても空隙率が大きいほど圧縮強度は低下する;(2)空隙率が大きいほど,POSSCからの鉄溶出速度および最終的な鉄溶出量が増加する;(3)したがって,空隙率の変化に対し,POSSCの圧縮強度と鉄供給性能との間にはトレードオフの関係があり,要求性能に応じて適切な空隙率を設定する必要がある;(4)このトレードオフの関係は,指標を連続空隙率とするか全空隙率とするかによらない。そのため,POSSCの配合設計に際しては,計算が比較的容易な全空隙率を指標としてよい;(5)被覆ペーストの水結合材比が0.19~0.25の範囲において,水結合材比がPOSSCの空隙率と圧縮強度の関係に及ぼす影響は小さい;(6)腐植質を添加することにより,POSSCの圧縮強度は低下する。腐植質を溶銑予備処理スラグ容積の2%置換した本研究の実験条件下においては,同一の空隙率で比較した場合,約2 N/mm2の低下が認められた;(7)腐植質の添加により,POSSCから溶出した鉄は溶存鉄として長期間安定的に人工海水中に存在することが可能となる。
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