2015 Fiscal Year Research-status Report
専業母のエンパワメントを目的とした一時保育の意義と要件に関する研究
Project/Area Number |
25750014
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Research Institution | Kawaguchi Junior College |
Principal Investigator |
井上 清美 川口短期大学, その他部局等, 准教授 (30517305)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 一時保育 / 一時あずかり / 子育て支援 / 専業母 / 普遍的保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
①平成26年度に実施したフィンランドでの海外調査結果をもとに、保育制度および保育者養成制度について、北欧型福祉社会と日本の比較研究を行った。フィンランドでは保育だけでなく介護や介助を含むケア共通資格(ラヒホイタヤ)があり、制度上では幼保一元化となっているものの、保育者である幼稚園教諭とラヒホイタヤの間には厳密な職域分離や階層性があることを明らかにした。本研究の成果は、「幼保一元化にともなう保育者養成制度のゆくえ-フィンランドの共通ケア資格(ラヒホイタヤ)から」『川口短期大学紀要』21:101-113に公表した。 ②一時保育や一時あずかりを提供するNPOや生協などを対象とした調査「子育て支援者の身分保障」のデータを用い、子育てを終えた世代の支援者に焦点をあてて分析をした。子育て後の世代は子育て世代に比べて、経済的報酬への指向性が低い一方で、年間の収入が130万円を超える支援者が約15% を占めている。子育て後の世代の支援者は様々な動機や背景を持ちながら活動に従事しており、子育て世代の「当事者生」を保ちつつ、世代や専門性を横断するネットワーク形成への貢献が、今後の子育て支援団体に望まれる方向性であることを指摘した。分析の結果は社会政策学会にて報告をし、「子育て支援労働は誰が担うのか-支援者の世代と多様性」『生協総研レポート』80:13-27に公表した。 ③専業母の子育て支援ニーズを量的に把握するため、専業主婦率の高い東京都T区と専業主婦率の低い富山県I市に焦点をあて、それぞれの地域で6歳未満児を育てる母親を対象とした全数調査のデータを用いて多変量解析を行った。結果は「子育て支援の分節化-専業母は何を求めているのか」『東京大学社会科学研究所二次分析研究会報告書』に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
国内調査の実施について、質問紙の回収率を高めるため、調査方法を見直した結果、当初の予定よりも実施時期が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
①現在、専業母を対象とした質問紙調査と、一時保育および一時あずかりを提供する保育所やNPO に対する調査を並行して実施しており、それらの調査結果を分析し、考察を行う予定である。 ②最終年度である本年は、最終報告書の作成にむけて、これまでの研究成果を整理し、関連づけることによって体系化を図る。
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Causes of Carryover |
国内調査の実施が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年8月末に調査票を回収し、9月から分析を行う。年度内に最終報告書を作成する計画である。
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Research Products
(3 results)