2013 Fiscal Year Research-status Report
温熱と電気刺激が血管機能に与える影響 -運動が困難な者への応用を目指して-
Project/Area Number |
25750208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
岩本 えりか 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (40632782)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 温熱刺激 / 電気刺激 / 順行性血流 / 逆流性血流 / 血管機能 / 血流依存性血管拡張反応 / 非活動部位 / 動脈 |
Research Abstract |
血管機能の維持・改善は,国民の健康維持のみならず医療費の面でも重要な課題である.有酸素性運動は血管機能の改善に有効であるが,超高齢化社会の進展により運動実施が困難な者も急増しており,運動の代わりとなる介入方法の早期開発が求められている.そこで本研究では,温熱や電気刺激などの物理刺激に対する血流量と血流パターンの変化に着目し,温熱と電気刺激を組み合わせた新しい介入方法が,血管機能に与える影響(急性効果と慢性効果)とその作用機序を明らかにすることを目的とする. 具体的には, 下肢における①温熱刺激のみ,②電気刺激のみ,③温熱と電気刺激の併用,の3種類の試行の違いが,大腿動脈の血流量,血流パターンおよび血管機能の指標である“血流依存性血管拡張反応(Flow-Mediated Dilation:FMD)”に与える影響を比較する.本年度は, これらの3つの試行の違いが血流量, 血流パターンおよび血管機能に与える急性効果を明らかにすることとした. 予備実験の結果より,測定部位を大腿動脈から上腕動脈に変更した.また,温熱刺激と電気刺激の刺激部位を同一とするため,温熱刺激の方法を変更した.本研究に必須の超音波診断装置(Vivid i)が事務手続きの都合により納入が遅れた(すでに納入済み)ために,やや実験の開始が遅れていたが,新しい超音波画像の解析ソフトの使用により解析時間の大幅な短縮が可能であり,現在の進行状況においても計画実施に問題はないと考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度において,下肢における①温熱刺激のみ,②電気刺激のみ,③温熱と電気刺激の併用,の3種類の試行の違いが,上腕動脈の血流量,血流パターンおよび血管機能の指標である“血流依存性血管拡張反応(Flow-Mediated Dilation:FMD)”に与える急性効果を検討した. 予備実験の結果より,測定部位を大腿動脈から上腕動脈に変更し実験を実施している.また初期の計画では,温熱刺激と電気刺激の刺激部位が異なっていたため,刺激部位を同一にすることとした.そのため,温熱刺激の方法を,温水に刺激部位を直接浸す方法から,温水を循環させたカフを巻く方法に変更した.また現在,超音波診断装置によって得られた画像を解析するソフトの有用性を確認している所である.今までは超音波画像をマニュアルで解析していたため,血流パターンやFMDの解析に大幅な時間を要していたが,ソフト使用により解析時間を短縮することが可能と考えられる.本研究に必須の超音波診断装置(Vivid i)が事務手続きの都合により納入が遅れた(すでに納入済み)ために,やや実験開始が遅れていたが,解析時間の短縮により現在の進行状況においても計画実施に問題はないと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度では,温熱刺激と電気刺激を併用する受動的なトレーニングを行うことが,上腕動脈の血管機能に与える影響を明らかにすることとする.昨年度に引き続き,計画に基づき実験を遂行するが,刺激部位,および温熱刺激の方法については以下の通り変更し,1)温熱刺激のみ,2)電気刺激のみ,3)温熱刺激と電気刺激の併用.の実験を行う.1)温熱刺激:前腕部に42℃の温水を循環させたカフを装着する.2)電気刺激:前腕部に電極を配置し他動的に筋収縮を行う.3)温熱刺激と電気刺激の併用:前腕部における温熱刺激および電気刺激を同時に行う.これら3種類の試行の受動的トレーニングの前後で,血管機能の指標である“血流依存性血管拡張反応(Flow-Mediated Dilation:FMD)”を上腕動脈にて測定する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,超音波診断装置(Logiq e)を新規購入する予定であったが,より本研究に適した循環器専門の超音波診断装置(Vivid i)のほぼ未使用の中古品を同講座所属の研究者と共同購入することになったため,超音波診断装置の金額が変更となり,研究費の一部を次年度使用額として繰り越すこととなった. 研究の遂行に必要な消耗品の購入,人件費などは,当初の計画通りに使用する予定である.最終年度である本年度は,本研究課題に関する研究打ち合わせや研究成果の発表に伴い,国内外旅費,英文校正料,投稿料などが必要となる.そのため,これらの成果報告のための経費に,研究費を充当する予定である.
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Research Products
(10 results)