2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25750224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中山 渕利 日本大学, 歯学部, 助教 (10614159)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リクライニング位 / 嚥下圧 / 鼻咽腔閉鎖 |
Research Abstract |
リクライニング位で嚥下すると、重力の影響により食物を咽頭へ送りやすくなるうえに、喉頭が食道の入口より上になることで食物が食道に入りやすくなるために誤嚥しにくくなると考えられている。しかし、摂食・嚥下障害は病態によっては、リクライニング位をとることでかえって咽頭に食物が残留し、誤嚥のリスクが高くなる症例もあるが、リクライニング位が有効な症例かどうかの判断基準については明らかではないため、リクライニング位によって改善される点と阻害される点について明らかにするため、平成25年度には、リクライニング位が嚥下時の上咽頭に与える影響について調査した。 健常成人9名を被験者として、90°座位、60°リクライニング位、30°リクライニング位における、空嚥下時、水嚥下時、とろみ水嚥下時、「PΛ」発音時、「KΛ」発音時のそれぞれについて鼻咽腔閉鎖圧を測定した。その結果、空嚥下時および水嚥下時の鼻咽腔閉鎖強度は体幹を倒すほど有意に低下した。一方、とろみ水嚥下時では有意差は認められなかった。また、鼻咽腔閉鎖時間については、どの試行でもリクライニング位による明らかな変化は認められなかった。 本研究結果により、鼻咽腔閉鎖強度については食塊の物性や体幹角度によって影響され、鼻咽腔閉鎖時間についてはこれらの影響を受けないことが示唆された。また、本研究結果は、リクライニング位で粘性の低いものを嚥下する際には、強い鼻咽腔閉鎖圧は必要とされない可能性があり、鼻咽腔閉鎖圧の弱い嚥下障害者にとって、リクライニング位は有効である可能性が考えられた。 この研究成果は、Journal of Oral Rehabilitationに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には、リクライニング位における上咽頭の閉鎖圧に与える影響について、その研究成果をJournal of Oral Rehabilitationにて発表することができた。また、健常者における下咽頭および食道入口部にリクライニング位が与える影響については、予定通りデータを収集できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
健常者における下咽頭および食道入口部の嚥下圧にリクライニング位が与える影響については今後もデータ解析を進め、学術大会等で発表する予定である。また、リクライニング位は嚥下関連筋の筋活動にも影響を与えている可能性が考えられたため、平成26年度には筋電位の測定を行い、嚥下圧および嚥下関連筋活動の測定値より、リクライニング位が嚥下運動にどのような影響を与えているのか、またどのような患者に有効なのかを検討していく方針である。さらに、実際の摂食嚥下障害患者に対する嚥下圧または筋電位の測定については、引き続き協力して頂ける患者の募集を続ける予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度では、健常者を対象として、リクライニング位における嚥下圧の測定を行ったが、嚥下時の嚥下関連筋の筋電位の計測にて有用なデータの収集を行うことができなかった。そのため、当初予定していた学術大会への参加を見送ったことで、繰り越し金が生じた。 今年度は昨年度の繰り越し金で筋電位測定用の電極を購入し、さらに今年度の研究費にて筋電位測定用の記録装置およびそのデータを解析するためのソフト購入、学会参加費および旅費、論文翻訳・校閲料等の使用を計画している。
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