2014 Fiscal Year Research-status Report
心的動揺に対する運動制御機構―姿勢制御機能と皮質脊髄路の興奮性の精緻な解明―
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25750290
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
田中 美吏 福井大学, 教育地域科学部, 講師 (70548445)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プレッシャー / あがり / 姿勢制御 / 重心動揺 / 筋電図 / 対処法 / 質的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、本研究課題の一つの大きなテーマでもある心的動揺に対する姿勢制御機能を調べる実験研究を展開する環境を先ずは整え、その後に1つ目の実験を実施した。18名を対象にバランスディスク上で30秒間のバランス保持課題を実施させ、その成否に対して金銭的な報酬や罰が与えられるプレッシャー条件を作り出し、その状況下における姿勢制御機能を重心動揺計を用いた足圧中心(COP)、下腿ヒラメ筋と前脛骨筋の筋電図(EMG)、バランスの安定性に関する主観的評価などから検討した。主な結果として、心理的プレッシャー下ではヒラメ筋の筋放電量が増大し、ヒラメ筋と前脛骨筋の共縮も大きくなるなかで、主観ならびにCOPの評価からの姿勢制御は安定(硬直)することが明らかとなった。この実験の途中経過については日本運動学習研究会において口頭発表を行った。 さらに、スポーツにおけるプレッシャーへの効果的な対処法を開発・提案することを目的とした研究も推進し始めた。その第1歩として、中学生および高校生競泳選手に対して、過去1年においてプレッシャーを感じた試合を回想させ、その試合における①プレッシャーの種類、②その試合における心理面、②その試合における技術面、④試合や練習時におけるプレッシャーの対処法を自由記述で回答させるアンケート調査を実施した。119名の選手から回答があり、6つの種目別(自由形、バタフライ、平泳ぎ、背泳ぎ、個人メドレー、リレー)、そして2つの競技レベル別(地方大会進出者、県大会上位者で地方大会には不進出)にKJ法による質的分析を行った。トライアンギュレーションを基にカテゴリーとモデルを構成し、種目別や競技レベル別の比較を行った。 また昨年度実施した実験の成果を日本体育学会で口頭発表した。関連実験の国際誌アクセプト1件と総説論文の国内誌掲載1件もあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画の2年目を終え、皮質脊髄路の興奮性を調べる実験と姿勢制御機能を調べる実験をそれぞれ実施し、本研究課題の2大テーマを着実に進めることができている。研究結果も概ね学術的意義のあるものであり、その成果を学会や研究会等で公表し、論文としての投稿もできている。当初の研究計画外のテーマでもあるが、新たなテーマとしてスポーツにおけるプレッシャーの克服法を開発・提案する研究にも取り組み始めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は3年計画の3年目として、プレッシャー下における姿勢制御を調べる2つ目の実験と、競泳選手を対象に効果的なプレッシャーや「あがり」の対処法を立案し、その効果を検証する実験に取り組む予定である。2年目に実施した実験や調査の結果に関しては、国際および国内学会で公表し、随時論文投稿も行っていく。
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Causes of Carryover |
予定よりも物品費、旅費、研究補助者謝金が少なくて済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費、実験参加者や研究補助者への謝金、その他(電極等の消耗品、図書代)等に有効に充てていく。
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