2015 Fiscal Year Annual Research Report
心的動揺に対する運動制御機構―姿勢制御機能と皮質脊髄路の興奮性の精緻な解明―
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25750290
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
田中 美吏 武庫川女子大学, 健康・スポーツ科学部, 講師 (70548445)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 心理的プレッシャー / 感情 / IAPS / 皮質脊髄路の興奮性 / 脊髄反射 / 筋活動 / 姿勢制御 / TMS |
Outline of Annual Research Achievements |
運動パフォーマンスは良くも悪くも,心理的プレッシャーや感情の変化などの心理的要因の影響を受ける.本研究では,心理的プレッシャーや快-不快感情を実験的に誘発し,そのなかで運動課題を実施するときの皮質脊髄路の興奮性,脊髄反射,筋活動,姿勢制御機能,ならびにパフォーマンス結果を調べることで,心的動揺に対する運動制御機構の現象理解を図る基礎研究を深化させることを目的とした.利き足による選択反応課題を用いた実験では,課題パフォーマンスの反応時間に対する報酬や罰による心理的プレッシャー条件において,反応直前の運動準備時における皮質脊髄路の興奮性が高まったものの,脊髄反射に対するプレッシャーの影響は見られなかった.また,写真刺激を用いて快感情や不快感情を誘発した実験では,同様の運動課題において皮質脊髄路の興奮性や,脊髄反射に変化が見られなかった.これらの結果から,運動制御の機能変化は心理的プレッシャーに対して感度が高く,さらには認知や注意などの高次中枢からの神経伝達の影響が強いという考察が得られた.心理的プレッシャーが片足や立位での姿勢制御機能に及ぼす影響を調べた実験では,バランスディスク上での片足バランス保持課題において,課題の成否に対する心理的プレッシャーを負荷した条件では足圧中心(COP)の面積が縮小することや,ヒラメ筋と前脛骨筋間の共収縮が高まることが示された.プレッシャー下では身体を硬直させる運動方略を採用することで,このような姿勢制御機能の変化が生じることが考察された.他の実験では,立位姿勢制御時に上肢を利用してフラフープ回しやジャグリングの別の運動課題を実施させ,上肢課題に対する心理的プレッシャーを負荷したが,その際にはCOPからの評価による姿勢制御機能に変化は見られなかった.
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Research Products
(8 results)