2013 Fiscal Year Research-status Report
野球投手の投じるボールの回転を決定する上肢・体幹の連動動作の解明
Project/Area Number |
25750307
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
永見 智行 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助手 (10634371)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スポーツバイオメカニクス / 野球 / 投手 / 投球動作 / ボール回転 / 肩 / 体幹 |
Research Abstract |
野球の投手はボールの飛翔軌道を変化させるため,ボールに様々な回転を与える.申請者はこれまでに,実際に投手が投じる様々な球種の回転速度,回転軸の向きを詳細に検討してきた.その結果,同じ球種であっても個人差や長期的練習による個人内変動が大きいこと,これらが投手の投球パフォーマンスを決定する重要な因子であることが明らかとなった.しかし未だどのような身体動作がボール回転を決定しているのか分かっておらず,ボールの回転を改善し,投球パフォーマンスを効率良く向上させる手段は不明である.本研究ではこれを解決するため,投球時の上肢・体幹部の動作がボールの回転に与える影響を明らかにし,個々の理想とするボール飛翔軌道を実現するための一助とすることを目的とした. 特に本年度(1年目)は①同じ球種におけるボール回転速度,回転軸の向きの個人差は,上肢・体幹部のどのような動作の個人差によるものか,また②最も基本的な球種である直球と比べ,変化球を投球する際には上肢・体幹部の動作をどのように変更するのか,またその動作調節はボールの回転にどう影響するのか,を明らかにすることを目的として実験1を行った.実験1には当初予定よりも多くの被験者を採用することができ,大学野球投手15名,社会人野球投手8名,プロ野球投手1名の投球時の身体動作,ボール回転を測定した.現在これらの測定データを慎重に分析中である. また本年度後半から2年目にかけては,大学野球投手を対象に,ボール回転の経時的な個人内変動を引き起こす上肢,体幹の動作の変容を縦断的研究(実験2)によって明らかにする予定であったが,これも測定を開始しており,今後3ヶ月おきに同様の測定を行っていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,野球投球時の上肢・体幹部の動作がボールの回転に与える影響を明らかにし,個々の理想とするボール飛翔軌道を実現するための一助とすることであった.この目的を達成するために設定した2つの実験のうち,実験1は測定が終了した段階である.現在測定データの分析を進めているところであって,その結果の詳細について論じる事ができないが,2カ年の計画から見れば当初の予定通りである.実験2は1年半に及ぶ縦断的研究であるため3ヶ月おきの測定を継続中である.通常練習時に肩や肘等に投球障害が発生し,実験実施時に投球が行えなくなる被験者も存在するものと当初から想定しており,最終測定まで継続して行える被験者を少なくとも10名確保できるよう,初回実験では13名の投手の測定を行う事ができた. 2つの実験を総合して「投球時の上肢・体幹部の動作がボールの回転に与える影響を明らかにする」という目的を達成するための段階としては順調に推移している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は縦断研究である実験2を遂行する.被験者,検者の確保,実験日程の調整なども順調であり,現在のところ当初の予定を変更しなければならないような事態は生じていない.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定した検者謝金について,当該年度はデータの分析を申請者本人が全て行ったため,支出しなかった.また国外学会旅費として予算を計上していたが、当該学会に参加しなかったため支出しなかった. 設備備品として,新たに解析用PC,統計用PCソフトを購入する.消耗品費として野球ボール,テーピング,データ保存用外付けハードディスクを購入する.また複数の学会で発表を予定しており,そのための旅費を支出する.次年度使用分については,縦断研究によって分析すべきデータ量が増加することに伴って生じる検者謝金として使用する.
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Research Products
(2 results)