2013 Fiscal Year Research-status Report
浮世絵・挿絵系出身の日本画研究団体に関する総合的調査研究
Project/Area Number |
25770045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
篠原 聰 東海大学, 課程資格教育センター, 准教授 (70439694)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鏑木清方 / 日本近代美術史 / 浮世絵 / 挿絵 / 美人画 / 日本画 / 烏合会 / 郷土会 |
Research Abstract |
本研究は、浮世絵・挿絵系の画家が明治期に結成した烏合会と、同会の中心人物の一人である鏑木清方が大正期に入ってから彼の弟子を中心に結成した郷土会を対象に、(1)出品画家・作品に関する悉皆的な個別調査、(2)両団体の活動実態および表現内容の連続性と非連続性についての総合的研究を主な内容としている。 明治以後に結成された日本画研究団体の中でも、浮世絵・挿絵系出身の画家が結成した日本画団体に関する研究は、狩野派などの伝統的な画流派の流れを汲むそれに比べて進んでいない。「日本画」の本流から外れた出自をもつ両団体の活動実態や表現のあり方の解明を通じて、「日本画」という概念の形成過程を再考し、浮世絵から日本画への連続・非連続性や、日本画の表現の多様性を検証することを目的としている。 平成25年度は、主に(1)烏合会、郷土会の出品画家・作品に関する基礎データの収集整理と作品の所在調査、(2)両団体の活動実態や表現のあり方についての検証作業を進めた。(1)の基礎データについては、新聞雑誌記事を中心とする資料の整理作業を行った。作品の所在調査については、美術館学芸員やコレクター、画商等と情報交換を行い、郷土会出品画家の作品調査、作品撮影を実施したほか、美人画をテーマとした展覧会において、両団体の出品画家の作品を実見した。(2)については、鏑木清方の作品のイメージソースとしての関与が指摘されているラファエル前派やシャヴァンヌなどの西洋絵画の作品を実見した。そのほか、美人画や挿絵、口絵、日本画に関する文献や、郷土会の出品画家の実作品を古書店から購入したほか、新聞・雑誌記事の収集を適宜行った。 また、美人画研究会において本研究の概要を発表したほか、同研究会と連携した研究体制の構築をはかり、今後の研究推進の方向性について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に予定していた東京近隣を中心とする地域博物館(美術館、資料館等)への悉皆的な個別調査については、計画通りに踏査が進んでいない。その理由は、烏合会、郷土会に関する基礎データの収集整理および地方出身の画家の作品調査に予想以上に多くの時間が割かれたためである。本年度の進捗状況や研究成果を踏まえ、次年度はより周到な踏査計画を立てて個別調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、東京近隣を中心とする悉皆的な個別調査と地方出身の画家に関する現地調査に重点をおく。なお、東京近郊では、烏合会に関しては水野年方門下生を中心に、郷土会については鏑木清方門下を中心に個別調査を進める。また、美人画研究会と連携し、両団体の活動実態および表現内容の連続性と非連続性についての総合的研究を進める。これについては、年度内に基礎的な調査を完了する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の研究活動においては、基礎データーの収集整理および地方出身の画家の作品調査に重点をおいたため、データ入力等の作業には至らなかった。そのため、計上していたデータ入力等の謝金が、次年度使用額として生じた。 次年度使用額は、平成25年度にデータ入力等の謝金として計上していた予算であるが、すでに平成26年度には別途、謝金を計上しているため、美術館等の踏査のための国内旅費に充当する。
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