2013 Fiscal Year Research-status Report
大戦間期フランスにおける壁画と前衛芸術の相関関係――「壁画芸術」協会を中心に
Project/Area Number |
25770050
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto Saga University of Arts |
Principal Investigator |
山本 友紀 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 講師 (30537882)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 資料収集 / 研究環境の整備 |
Research Abstract |
大戦間期の壁画芸術の展開に関して未だ未整備の状態にある議論を支える基礎資料を収集した。当時の新聞や芸術雑誌などの文献および画像データの収集を行った。まず、4月から8月にかけて、研究対象に関連する書誌や画像データに関する情報を集積をおこなった。 夏季休暇中には、フランスでの調査を通じて、とりわけ「壁画芸術」協会における壁画に特化した実践的な活動に関する資料収集を重点的に行った。とくに、1935年から1949年にかけて計4回開催された「壁画芸術」協会のサロンのカタログを主な調査し、壁画芸術運動に関わった芸術家、美術批評家、政治家ならびに「壁画芸術」協会主催のサロンに出品された作品について調べた。これらの調査結果に基づき、関連する事項をリスト化した、フランス国立図書館において大戦間期の新聞・芸術雑誌など、「壁画芸術」協会に関する文字媒体資料や図版の収集を通して、それらの資料において言及される人物について事責・業績を精査した。それと同時に、パリのカンディンスキー図書館では、抽象芸術を推進しながら「壁画芸術」協会に参加した芸術家たちについて、「アブストラクシオン・クレアシオン」のメンバーを中心に調査を行った。 これらの資料収集調査に基づいて、「壁画芸術」協会の活動の全体像を把握しながら、「壁画芸術」協会の活動実態やその戦略について考察し、その成果は著書『フェルナン・レジェ オブジェと色彩のユートピア―キュビスムからフランス人民戦線まで』における第6章においてまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標としていた基本的な文献・資料の調査を計画通りに行い、これらの資料の整備によって、「壁画芸術」協会に参加した芸術家たちについての考察が可能となり、その研究成果を著書の一部としてまとめることができたため、研究の目的はある程度達成できたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い、必要と判断された書籍を入手しながら、海外渡航時の調査項目をリスト化する。夏季休暇期間中にはフランスとイタリアでの調査を中心として、ヨーロッパ周辺各国における美術政策のフランスにおける受容に関する言説に関して情報を収集する。夏季以降は、これらの調査を基に、国際的な枠組みの中でフランスの壁画制作の展開について考察する予定である。
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