2014 Fiscal Year Research-status Report
デジタル・ハイブリッド技術による発色現像カラープリント技法の更新・制作展開
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25770062
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
安田 暁 福山大学, 人間文化学部, 准教授 (00640228)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 芸術学 / 芸術一般 / メディア芸術 / 芸術表現 / 写真 |
Outline of Annual Research Achievements |
25年度は写真関連制作における基礎的な環境整備を行い、26年度はそれをもとに研究制作を開始した。主に中判フィルムを使用するカメラでの撮影、そのフィルムをスキャンしてのデータ制作、プリント用ネガを出力してのプリントという、当初想定していた研究における初期段階として想定していた手順および品質の確認と、現在の環境において可能な精度について主に検討しつつ、中間段階としての作品制作を行っている。ここでの主な成果としては、カラーのコントロールというよりは、写真画像における諧調(明度)とカラー(色相・再度)を分離、ずらすことにより発生する効果に、作品として評価に値する表現を見いだし、作品プリントを作成している。 また同時に、今後の研究制作においてフィルムサイズによる表現の限界を考慮し大判フィルムを使用した、より充実した効果を求めて研究制作を開始することの必要性が確認できたため、現研究機関においては不足している大判フィルムによる撮影、スキャン、プリントができる機材についての調査や、必要なものの購入を行い、研究後半における環境の整備についても引き続き行っている。 並行して、国内における展示クオリティのプリントの動向における調査を、今年度は東川国際写真祭での展示作品をターゲットに行い、展示されているプリントの素材や技法などにつき調査を行った。また、東川賞受賞作品のプリントにも関わったプリンターから直接聞き取りを行うこともできている。 本来26年度で研究を終了する予定であったが、研究環境整備に掛かった期間を勘案しつつ研究期間の延長を申請し、承認されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、研究のベースにあたる部分の整備を中心に行い、実質的に今年度に入ってから課題本体部分の研究制作に着手している状況である。これにおいて、展示に耐えるクオリティの作品制作も行うことができたため、一定の達成を確保できたとは考えており、26年度を実質的な研究初年度であったとするならば、目的の達成度としてなんら問題ない、もしくは進展したとも考えている。 しかしながら、当初の予定では26年度が研究最終年度であり、研究最終年に予定していた研究を達成できているとまでは言いがたい部分がある。この観点からするとやや遅れていると言わざるを得ない部分もあるため、自己評価区分を上記のようにするものである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では25年度と26年度にまたがる研究の予定であったが、27年度まで延長する計画へと変更し承認されている。 27年度は、主に大判フィルムを用いた制作の研究を行い、作品として展示するに値する品質の制作の実現を目指しつつ、それに必要な技法等の確認をしていく。26年度の研究制作で、当初予定していた「カラーの自在なコントロール」という目標とは少し外れた「写真が持っているカラーをずらす」ことの可能性が見いだされた。これについても引き続き、検討するとともに、より作品制作において効果的なのがどちらの方向性かを見極め、そちらに注力する予定である。 研究過程で製作した作品を、27年度中に予定されている東京都での展示にて発表することの検討を開始している。
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Causes of Carryover |
平成25年度に研究代表者の所属機関異動があったため、研究初年度である25年度は研究を行うための前段となる環境整備を行った。そのため、26年度に研究における本体部分、核心部分の研究開始をしている状況である。これに連動して、支出についても当初予定計画より執行が遅くなっているものが発生している。このため、未使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的に当初の研究予定にて想定していたとおりの使用を計画しているが、現所属機関の研究環境に合わせて、引き続き必要物品や機材についてはより必要性が高く、費用対効果に優れているものを選定しつつ使用する。 旅費に関しては、海外だけでなく、国内でのリサーチに重点的に使用する可能性を考慮していく。
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Research Products
(2 results)