2014 Fiscal Year Research-status Report
ハンセン病患者・回復者による芸術文化活動の意味と芸術性
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25770072
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
金 貴粉 大阪経済法科大学, アジア太平洋研究センター, 研究員 (20648711)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文化芸術活動 / ハンセン病患者・回復者 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度において実施した調査ならびに研究概要については次の通りである。 1)熊本県合志市に位置する菊池恵楓園において、芸術活動を行っている入所者個人へインタビュー調査を行った。また、療養所にある社会交流会館において文化、芸術活動関連資料の調査を行った。 2)青森県青森市に位置する松丘保養園において、陶芸作品を制作する入所者へのインタビュー調査を行い、作品等資料をデジタルカメラで撮影し、調査を行った。また園職員から展示室の案内を受け、展示資料調査を行った。 3)群馬県草津町に位置する栗生楽泉園において、昨年度に引き続き入所者自治会役員ならびに芸術活動を行っている入所者個人へインタビュー調査を行った。また今年新たに開設された重監房資料館を見学し、当時の入所者の置かれた実態についても調査を行った。 4)沖縄県名護市に位置する沖縄愛楽園において、入所者へのインタビュー調査と作品調査を行った。また、開館準備中の社会交流会館を関係者から案内していただき、療養所の歴史や入所者の暮らしについての調査を行うことができた。5)鹿児島県鹿屋市に位置する星塚敬愛園において、絵画作品を制作する入所者へのインタビュー調査を行い、作品をデジタルカメラ撮影して記録化した。さらに新たに開館した社会交流会館の展示を見学し、展示されている作品調査を行った。 以上、今年度は昨年度の調査結果をふまえ、より多くの療養所で当事者へのインタビューを重ね、具体的なハンセン病回復者による芸術活動について考察することができた。また引き続き関連資料による文献調査を行うことで、これまでの療養所における芸術活動が当事者にとってどのような意味を持ってきたのかということを明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は遠方の療養所を中心に調査を進めることができた。これまで訪問した療養所入所者や関係者との連絡を重ねることで、調査を効率よく進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
未調査の療養所を優先的に調査しながら、これまでの結果をまとめ、ハンセン病患者・回復者による芸術文化活動の意味と芸術性を明らかにしていく。また、これまでの調査の過程で芸術文化活動に生きる意味を見出してきたことは、日本国内の回復者にとどまらないことが明らかになったため、海外における類似の事例を比較対象として調査対象とし、課題の究明につとめたい。
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Causes of Carryover |
平成26年度において、インタビュー調査のテープ起こし等の人件費を使用できなかった。また、当初予定していたよりも療養所滞在日数が減ったため、旅費が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未調査の5園と海外の類似事例を調査するため、旅費として使用する。また、最終年度であり、これまでの調査結果をまとめるため、テープ起こし等の人件費、報告書作成の印刷費等で使用する計画である。
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Research Products
(2 results)