2015 Fiscal Year Annual Research Report
ハンセン病患者・回復者による芸術文化活動の意味と芸術性
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25770072
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
金 貴粉 大阪経済法科大学, アジア・太平洋研究センター, 研究員 (20648711)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 芸術表現 / ハンセン病患者・回復者 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度に実施した調査ならびに研究実績の概要については次の通りである。今年度はこれまでの調査のまとめとともに、海外における専門家からの聞き取り、視察を通してハンセン病患者・回復者における芸術文化活動についての意味と価値について考察した。 1)韓国近現代美術史学会に参加し、絵画の専門家のハンセン病回復者による作品に関する意見からその芸術的価値について考察し、国立中央図書館においてハンセン病関連資料の調査を行った。 2)ドイツ・ベルリンに点在するホロコーストを伝える記念碑等の視察から芸術作品を通して負の歴史をどのように後世に継承していくかという示唆を受けた。その側面においてハンセン病回復者の作品がどのように位置づけられるのかということを考察する上で多くの学びを得ることができた。 3)新潟で開催された国際シンポジウム「東アジアにおける<書の美学>の伝統と変容」に参加し、患者・回復者の書活動について考察するとともに、書学書道史学会で報告を行い、芸術的側面から書活動について明らかにした。 4)ハンセン病患者・回復者による芸術文化活動の意味と芸術性について明らかにするためこれまでの各療養所の文化活動を行っている入所者や関係者からインタビュー調査結果、文献調査結果をまとめた。その結果、当事者にとっての芸術文化活動は単に趣味として捉えられるものではなく、隔離政策という閉塞し、限界状況においても生き抜くための自己実現の手段であったことが明らかになった。特に絵画活動については「戦後ハンセン病療養所における文化活動とその意味-絵画活動を中心として-」(『アジア太平洋レビュー』12号、大阪経済法科大学、2015年)としてまとめ、公表した。5)大阪経済法科大学2016年度研究報告会において「ハンセン病患者・回復者による芸術文化活動の実相とその意味」と題した報告を行い、広くその成果を還元した。
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Research Products
(4 results)