2015 Fiscal Year Research-status Report
1850年~1920年のアメリカ小説における「アメリカンガール」像の研究
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25770117
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
新井 景子 武蔵大学, 人文学部, 准教授 (20557194)
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Project Period (FY) |
2015-03-01 – 2018-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / アメリカンガール像 |
Outline of Annual Research Achievements |
Nathaniel Hawthorneの作品のうち、これまでの研究で取り上げてこなかった小説(The Scarlet Letter、The Blithedale Romance)を考察し、その中でいかに“girl”像が描かれているか、またそこにいかなる女性観・国家観が見出せるかを検討した。主な成果として次の2点がある。 1.The Scarlet LetterにおけるPearl像の考察 最近の研究では、Pearlが「罪の象徴」以上の存在であるという指摘がされており、ピューリタンのジェンダーロールに縛られない未来の女性像を示しているという見方が示されている。しかし一方でPearlは、最終的に”wild”であることをやめ、「どこか未知の場所」で幸せな結婚をし「家庭の天使」となる。本研究では、このようなPearlの位置づけの曖昧さに注目し、HesterとPearlの強い母娘関係を検討することで、そこにHawthorneのアンビヴァレントなジェンダー観がいかに見いだせるかを考察した。研究の成果は、平成28年6月の国際学会にて発表予定である。 2.The Blithedale RomanceにおけるPriscilla像の考察 PriscillaはHawthorneの作品中でも特に保守的なフェア・レディとみなされてきたが、本研究では、自らの力で立てず声を発することもできない”child”として登場したPriscillaが、いかに”girl”から、声を持つ”woman”へと成長していくか、またそこにいかなる「改革」が見いだせるかを検討した。現在成果を論文としてまとめている。 上記に加え、Hawthorneの作品におけるアメリカンガール像について、平成27年度の成果およびそれ以前の成果をまとめた形として、平成28年度10月の学会で成果を発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nathaniel Hawthorneの主要な小説で描かれるアメリカンガール像の考察において、一定の成果を出すことができた。また、平成28年度の研究につながる基礎研究として、短編作品の読み込みおよび批評文献の読み込みについても、おおむね順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も基本的に当初の計画に沿って研究を進める予定であるが、平成27年度の研究により、Hawthorneのアメリカンガール像が当初予想していた以上に様々な問題と絡み合い、Hawthorneの代表的な小説のみならずキャリア全体を踏まえて検討すべきテーマであるとの確信に至ったため、当初の予定よりHawthorneの研究を拡大したいと考えている。そのため、平成28年度も引き続きHawthorneのアメリカンガール像の研究を進め、そこから後の時代のアメリカンガール像研究へとつなげていければと考えている。
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Causes of Carryover |
もう少し研究を進めてから必要となる資料を購入することとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度中に研究に必要な資料(書籍)を購入する予定である。
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Research Products
(2 results)