2014 Fiscal Year Research-status Report
日本語諸方言における有声阻害重子音の音響的,聴覚的実態に関する実証的研究
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25770155
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
松浦 年男 北星学園大学, 文学部, 准教授 (80526690)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 天草方言 / 河北町方言 / 促音 / 音響音声学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究発表ならびに現地調査を実施した。 【研究発表】日本音声学会においてワークショップを企画し,天草方言における調査結果について,本渡地方と牛深地方での結果と比較し,有声促音の有無と完全振動が必ずしも相関しないことを報告した。また,促音との関連で調査したアクセントについて,調査結果をまとめ,日本方言研究会において報告した。 【現地調査】前年度に引き続き天草地方での調査を進めると同時に,同じ九州地方で佐賀県西部,並びに山形県河北町においても調査を実施した。以下にそれぞれの調査の概要を報告する。(1)天草本渡方言,河北町方言について,共通する調査票を用いて外来語での有声重子音の無声化(例:ベッド→ベット)の有無や,重子音における有声区間の持続時間,VOTを記録した。(2)河北町方言は母音間の無声音が有声音になる有声化を持つ方言である。この方言に特徴的なのは,有声化が単子音だけでなく重子音(促音)でも見られることである。また,この方言では過去形やモーダル形式にッダが出現する。そこで,これらの形式について高年層話者を対象に調査を行った。(3)佐賀県西部には動詞の現在形において語末が重子音になると言われている(例えば「取る」を「トッ」と記述されている)。調査ではこの語末重子音について,様々な音韻環境の元で録音し,どのような音響的実態を持つかについて記録した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定を変更し,山形県河北町での調査を実施するほか,従来行っていた九州地方での調査については複数回行うことができた。また学会でワークショップを企画することで,本科研の成果を公表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き九州地方での調査,山形県での調査を行い記述の精密化を図るほか,新たに八丈島での調査を実施する。さらに,国内外の学会において発表を行い成果を公表するほか,論文の執筆を進める。
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Research Products
(2 results)