2013 Fiscal Year Research-status Report
王政復古期イギリスにおける臣民と市民―文化史的考察―
Project/Area Number |
25770268
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
後藤 はる美 東洋大学, 文学部, 講師 (00540379)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 西洋史 / 民衆 / イギリス / 近世 |
Research Abstract |
初年度は、王政復古期イギリスの社会と文化全般にかかわる二次文献を体系的に調査し、研究動向を批判的に分析することを主な課題とした。とりわけ、印刷文化や政治風刺、示威行列や民衆儀礼など、文化史的な研究展開に注意を払い、王政復古期における政治文化のありかたに関する理解を深めた。成果の一部は、第63回日本西洋史学会大会(2013年5月12、京都大学)の小シンポジウムにおいて、初期・後期ステュアート朝の構造的な連続性を検討した口頭報告として公表する機会を得たほか、近年の革命史研究の動向を整理した読書案内としてまとめ、『世界史の研究』に寄稿した。さらに、2013年10月に来日したM・J・ブラディック教授(イギリス・シェフィールド大学)を招いた、国際セミナー(2013年10月10日、東京大学)の司会をつとめ、革命期の政治文化とその後世への影響に関する有益な示唆を得た。 それらと並行して、国内に所蔵されている刊行史料の調査・収集を進めた。ここでは、日本からでも利用可能なEarly English Books Online(15世紀末~17世紀イギリスにかかわる同時代出版物を網羅する史料データベース)が重要なリソースとなった。とりわけ、王位継承排除危機のなかで出版されたトーリ/ホウィグの政治パンフレットや、法廷報道、大陪審の手引書などを調査し、同時代の言説空間の性質を検討した。夏季には、予備調査のためイギリスの英国図書館(British Library)、ケンブリッジ大学図書館館等を訪問した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
移籍に伴い、基本的な研究環境の整備に時間を要した部分はあるものの、夏季には当初の予定通りにイギリス・ケンブリッジ大学図書館にて資料調査を実施し、このテーマに関する最近の動向を効率的に把握し、基礎的な資料を収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請時の予定にそって、翌年度は具体的な事例研究に取り組むことを主な課題とする。長期休暇中に一次史料の調査・収集のため渡英を予定している。 また、初年度の研究史整の成果を論文としてまとめるとともに、事例研究の中間的な成果を研究会での口頭報告等をつうじて積極的に公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度中に購入を予定していた高機能ノートPCを、新機種の発売状況や在庫状況、事務的な手続きの可能な期間を考慮して翌年度に見送ったため。 26年4~5月をめどに、機種と在庫を確認してノートPCを購入する。
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