2015 Fiscal Year Annual Research Report
「動物愛護の先進国」再考-近代イギリスにおける動物福祉の制度と理念
Project/Area Number |
25770270
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
伊東 剛史 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 講師 (10611080)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 国際情報交換 / イギリス / 文化史 / 社会史 / 都市史 / 動物福祉 / 動物倫理 / 動物観 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロジェクト最終年度の今年度は、動物生体解剖(動物実験)を規制した1876年の動物虐待防止法の分析を進めた。具体的には、チャールズ・ダーウィンの動物の感情に関する研究と1876年法への関与を、大きな歴史的枠組みの中に置いて、この時期のイギリスで動物観がどう変化しつつあったのかを探った。その研究成果を、(1)「ゾウの涙ーダーウィンの感情研究と生体解剖論争」近世イギリス史研究会・シンポジウム「近代イギリスにおける痛み」(東洋大学、 2015年6月28日)、(2)「眠れぬ夜の苦しみ―ダーウィンと生体解剖論争」第25回イギリス女性史研究会・シンポジウム「女性と動物―動物の苦痛への共感から反生体解剖運動へ」(甲南大学・ネットワークキャンパス東京、 2015年12月12日)、(3)'Weeping elephants, Charles Darwin and the vivisection controversy: a cultural history of "embodied pain" in Victorian Britain', ICC-TUFS joint seminar on 'Europe seen from abroad', International Cultural Centre, Krakow, Feb. 2016 として報告した。これらの機会から得られたフィードバックをもとに、現在、論文を執筆中。
もうひとつの研究成果は、動物の収集、繁殖に関する19世紀から20世紀初頭のグローバル・ネットワークの分析に関するものである。これまでのイギリスの「人と動物の関係史」をより大きな地理的文脈において再検討する機会となった。これを、「帝国・科学・アソシエーション ー「動物学帝国」という空間ー」近藤和彦編『ヨーロッパ史講義』(山川出版社、2015年5月、第8章)として発表した。
|
Research Products
(10 results)