2014 Fiscal Year Research-status Report
中世・近世アイヌ文化における内耳土鍋の考古学的研究
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25770274
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 建治 北海道大学, 文学研究科, 共同研究員 (00580929)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 内耳土鍋 / 北海道アイヌ / 樺太アイヌ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究実績は、以下の2点にまとめることができる。 1、内耳土鍋における北海道オホーツク海沿岸地域からサハリン島までの地域的特徴の検討。 北海道オホーツク海沿岸地域からサハリン島への系統関係の解明を目指し、まだ詳細な資料検討がおこなわれていない内耳土鍋の資料調査を国内外で実施した。国内調査では、北海道遠軽町郷土資料館所蔵の内耳土鍋片1点と鉄鍋を模倣したと考えられる内耳を欠いた小型の完形土器1点を実見した。資料館で残されている情報と地元の郷土史家によれば、これらの資料は佐呂間町で採集されたものであることが判明した。国外調査では、ロシア連邦サンクトペテルブルグ市の人類学民族学博物館(クンストカーメラ)所蔵のほぼ完形に近い内耳土鍋3点を実見した。台帳からはサハリン島多来加(テルペイニヤ)湾で出土したことが明らかになった。国内外で調査した上記の資料については、出土状況の情報収集をはじめ、実測図作成・写真撮影・土鍋付着物採集・資料計測をおこなった。 2、内耳土鍋の付着物を使ったAMS14C年代測定と炭素・窒素安定同位体分析 本年度調査した資料において土鍋付着物が採取可能であった4点と昨年度調査した資料1点(稚内市北方記念館所蔵資料)、計5点について、AMS14C年代測定と炭素・窒素安定同位体分析を実施した。クンストカーメラ所蔵の土鍋3点については目的のテータを得ることができたが、残りの2点についてサンプル量に問題があったため参考的なデータのみとなった。平成26年度の分析結果の検討については、平成27年度も実施するデータとあわせておこなう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画では、平成25年度から継続する①「形式学的分析による編年と地域的特徴の再構築作業」と②「遺跡内空間分析による内耳土鍋をめぐる人間行動の復元作業」に加え、土鍋付着物を使った③「AMS14C年代測定による絶対年代からみた編年案の構築」と「炭素・窒素安定同位体分析による古食性復元作業と土鍋利用復元作業」に着手する予定であった。 ①と②の計画に関しては、研究実績1で実施され、③と④の計画に関しては研究実績2で実施された。このように、申請時の計画を概ね達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究における方策としては、北海道との関連性が注目されるサハリン島の内耳土鍋資料に焦点を当てて資料調査を実施する。得られた資料に対しAMS14C年代測定と炭素・窒素安定同位体分析をおこない、科学的分析方法から内耳土鍋をめぐる歴史的・文化的背景を探りたい。 なお、内耳土鍋の未報告資料が国内外にまだ存在すると考えられるため、引き続き情報を集め、実見による資料調査を続けていく。
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Causes of Carryover |
図書と文具を購入したが納品が年度内に間に合わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
納品が遅れた図書と文具を購入予定。
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