2014 Fiscal Year Research-status Report
通商港の政治史 ―大陸進出構想と地域振興の実現過程―
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25780090
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
稲吉 晃 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70599638)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本政治史 / 港湾史 / 地方政治 / 内務省土木局 / 大蔵省 / 逓信省 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、前年度に引き続き、昭和初期から占領期にいたる期間の通商港の整備過程を考察するための資料収集を行った。具体的には、通商港修築の所管官庁であった内務省土木局の行政文書、及び同局の外郭団体である港湾協会刊行の雑誌・書籍など関連資料の収集を行った。とくに占領期の港湾行政を分析するための基本資料である、国立国会図書館憲政資料室所蔵・寄託の諸文書(新居善太郎関係文書・柏原兵太郎文書等)、横浜市史資料室所蔵の鮫島茂文書・河合光栄文書の収集を複数回にわけて行った。また、地方における通商港整備の実態解明については、前年度までに北九州地域を進めたのに対して、今年度は大陸への主要ルートとしての期待が高かった北陸地域(伏木港)を対象に、高岡市立伏木図書館において現地調査を行い、また中央における動向を確認するために八田嘉明文書・村上義一文書の調査を行った。さらに、各地の築港をめぐる言説がどのように展開されたのかを確認するため、主として国立国会図書館新聞資料室において各地の新聞史料の収集を行った。 これらの作業により、政党・内務省の勢力が衰退する時期において、各地のローカル・インタレストをめぐって各省間の対立が再び顕在化し、それは戦時体制においても克服されなかったことが明らかになった。また一方で、各地に於いても港湾をめぐるローカル・インタレスト成立に向けた取り組みは、依然として内務省系土木技師を中心に行われたことが明らかになった。 以上の本年度における史料収集の成果を、これまでの研究成果と合わせて、単著書『海港の政治史』(名古屋大学出版会)として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に基づいて、史料の収集・分析及び、成果の公表が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究が対象とする時期において、港湾行政をどのように整理・統合するかという問題は、日本のみならず各国で取り組まれた課題でもあった。当初の計画に基づいて、海外の主要港(主としてロンドン港・ハンブルク港)との比較を進めていく。
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