2013 Fiscal Year Research-status Report
「民営化」された政策分野における行政の守備範囲の変容に関する研究
Project/Area Number |
25780097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
西村 弥 明治大学, 政治経済学部, 講師 (80468826)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 民営化 / 政府関与 / 設置根拠法 / 特殊会社 / 行政の守備範囲 / 行政改革 / 完全民営化 / 行政の市場化 |
Research Abstract |
2013年度は大別して、文献・資料調査と、市民を対象とする大規模なウェブアンケート調査を実施した。 第一の文献・資料調査として、①設置根拠法の精査と②財務諸表の精査を実施した。まず①では、各法人の設置根拠法(法人間の重複もあるため27社に対して全17本)において、民営化法人の経営・運営等に対する政府関与に関する規定を網羅的に抽出し、政府関与の対象となる事案(役員の任免等)や関与の程度(許認可か届出か等)について整理、分類する作業を実施した。また、②では、民営化企業全社の財務諸表をもとに、各社の業績、および、その推移を経年的に把握した。 次に、一般的に市民が民営化に対して抱いているイメージやニーズ、さらには、個別の民営化企業についてどの程度認知しているか等を把握することを目的として、主に東京都民を対象としたウェブアンケート調査「民営化に関する意識調査」を次の要領で実施した。調査期間:2014年2月12日(水)~17日(月)、調査目的:日本で民営化された企業に関するイメージ等の把握、調査手法:インターネットによるアンケート調査、調査地域東京都(目標1,000名)、愛知県(目標250名)、大阪府(目標250名)、対象者条件:20歳~69歳男女、対象者抽出ソース:日経リサーチアクセスパネル、対象者設定:性×年代別 均等回収、回収数:全体2,186人(うち東京都1,423人)。 以上の調査結果により、民営化された企業(特殊会社)の設置根拠法に、法人によっては、民営化以前と同様の政府関与が存在すること、また、多くの市民は民営化に対して肯定的なイメージを保持しているものの、民営化に伴う具体的な制度変更についてはあまり認識していないといったことなどが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において予定していた「設置根拠法の精査」「財務諸表の精査」および「ウェブアンケート調査の実施」の三つについて、いずれも当初の目標通りに達成し、相応の知見を獲得することができた。また、その成果を2014年度上旬に報告するために、本研究にもとづく論文執筆作業をすすめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
第一年度の成果が順調にあがっていることから、第二年度(2014年度)以降においても、当初の研究計画にしたがって研究をすすめる。すなわち2014年度においては、民営化企業を対象とした郵送アンケート調査を実施する。政府の関与が規定されている条文の実際の運用の在り方や、政府の株主としてのこれまでの行動、完全民営化に向けた取り組みの有無や進捗等について確認することが主な目的である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ウェブアンケート調査を日経リサーチ社に委託する際に、委託契約を詳細に確認し、同社に委託する作業を最小限に絞り込み、また、調査対象者についても主に東京都民を対象とするなど、効率的な事業実施を行ったことにより、当初の見込み額よりも少ない金額で発注することができたことによる。 第二年度は郵送アンケート調査、第三年度は民営化企業への調査を控えている。今後、これら調査を準備、実施する際の研究経費に充当するとともに、これからも効率的な助成金の執行を進めていく予定である。
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