2014 Fiscal Year Research-status Report
「民営化」された政策分野における行政の守備範囲の変容に関する研究
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25780097
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
西村 弥 明治大学, 政治経済学部, 講師 (80468826)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 民営化 / 行政改革 / 行政の守備範囲 / 政府関与 / 特殊会社 / 設置根拠法 / 完全民営化 / 行政の市場化 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度(2013年)に実施したアンケート調査等とその分析によって、「民営化」(特殊会社化)された法人の多くには、設置根拠法に基づく所管官庁による政府関与が残存していることが明らかになった。 当該年度(2014年度)においては、上記の成果に基づき、それらの民営化された法人全般について、その経営状況、財務状況等についてデータ収集を行い、詳細な分析を実施した。そのうえで、それら民営化された法人について「事業要因」(完全民営化をめざせる実績を収めているか否か)、および、「制度要因」(法人の完全民営化について法令で厳格な条件を等を設けているか否か)の観点から分析を行い、四類型に分類する作業を実施した。 すなわち四類型とは、1)法令による拘束が無く、経営上も完全民営化をめざせる法人、2)法令による拘束はないが、経営実績上、完全民営化を目指せない法人、3)法令による拘束があるものの経営実績上は完全民営化を目指せる法人、4)法令による拘束があり、経営実績上も完全民営化を目指せない法人の四つである。 その結果、2000年代に入ってから実施された民営化については、その多くが3)ないし4)に該当することが明らかになった。「民営化」された特殊法人間において、上記のような性質上の著しい差異が存在することを実証的に明らかにすることができた。これらの成果については、日本行政学会2014年度総会・研究会分科会D「改革のプロセスと帰結」において「『民営化』と政府関与の変容――regulationとdeliveryの観点から――」と題する報告を行った。また、学術論文「『民営化』と行政の守備範囲に関する考察――民営化における政府関与の四類型」のほか、民営化の個別事例を精査した2編の論文(図書に掲載)にとりまとめ、発表、公刊したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
従来の研究では明らかにされてこなかった「民営化」された法人への政府関与の差異について、実証的に明らかにし、類型化を進めることができた。これは申請調書において「本研究の目的は、民営化後の企業に対する政府関与とその運用の在り方に関する類型化を進め、政府関与と民営化企業の業績の関係について明らかにすることにある」としていた目的をほぼ達成する成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、本研究の第一の目的である「民営化後の企業に対する政府関与とその運用の在り方に関する類型化を進め、政府関与と民営化企業の業績の関係について明らかにすることにある」について、ほぼ達成できたが、なぜそうした政府関与の違いが生じるのかについては十分説明できていない。今後は、各法人の民営化法案の策定プロセスを精査することを通じて、民営化に違いが生じる要因・理由を調査分析していく必要がある。
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Causes of Carryover |
前年度までに得られた知見を基に分析を進める際、および、新たなデータ等を収集する際に、研究上の必要性を精査し、効率的な経費の執行を行ったことにより、当該年度の研究については、当初の見込み額よりも少ない金額で実施することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第三年度は、民営化企業への直接の調査の実施や膨大な量のデータ分析を実施する予定である。今後、これらの調査、分析を準備、実施する際の研究経費に充当するとともに、これからも効率的、効果的な助成金の執行に努めていく。
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Research Products
(3 results)