2013 Fiscal Year Research-status Report
国際経済秩序構想をめぐる南北間対立への国連開発援助機関の対応とその行動原理
Project/Area Number |
25780114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
真嶋 麻子 津田塾大学, 学芸学部, 助教 (60598548)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国連開発計画(UNDP) / 国際行政 / UNDP事務局 / 国際開発援助 |
Research Abstract |
本研究は、国連開発計画(UNDP)をはじめとする国連開発援助の行動原理を明らかにするために、1970年代中葉から80年代末の時期に激化・収束した援助ドナーと受入国への対応策を検討することを課題とした。具体的には、UNDP理事会での審議内容・政策・総裁による関与についての実証的分析と、その調査結果を踏まえた一般理論化の二段階で研究課題に取り組むこととした。 本年度は、主として、上記の実証的分析に要する一次資料の収集ならびに分析を行った。特に、ボストン大学(アメリカ合衆国)の所蔵するUNDP元総裁―ブラッドフォード・モース―の政治思想をたどる資料やUNDP在職中の演説や書簡を収集できたことは、従来は詳細には検討されることの少なかったUNDPの政策形成を明らかにするための手がかりとなるものである。総裁の行動は制度上の政策決定機関である理事会と並んで、UNDPの政策への影響力があると考えられ、その解明はUNDPの行動原理の理解にとって不可欠であるためである。 加えて、本研究課題が主に焦点を当てる時期―1970年代中葉から1980年代末―における、国連研究の動向整理を行った。このことは、開発援助の領域に現れる、先進工業国と発展途上国ならびに発展途上国どうしの対立と協調とが、国際連合の政策や活動の動態にいかなる影響を及ぼしてきたのかを体系的に把握する試みの一環である。本研究課題が次年度以降に焦点を当てる、理論化の枠組みを整理するための作業でもあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集を中心に、実証的分析の理論化に着手しつつあるという点で、研究は順調に進捗しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、UNDPを軸に国連による開発援助の行動原理を明らかにするための資料収集と分析とを行う。具体的には、第一に、入手済みのUNDP総裁にかかる資料ならびに理事会での討議資料を照らし合わせて、政策決定のプロセスを検証し、第二に、総裁のブレーンとなる周辺人物たちの貢献についても資料を収集・分析し、南北対立と格差に対応するためのUNDPの政策を多角的に明らかにする。 また、研究枠組みの提示のために、国際行政における国際機関の事務局の位置づけを把握するための先行研究のサーベイも並行し、国家間の政治力学とは異なる次元で、国連の動態を決定づける事務局(行政職、専門職)の役割について、一次資料に依拠して考察を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、一次資料の収集を中心的に行ったため、文献資料の購入ならびに一次資料分析に必要な機材の購入は翌年度に使用することとした。 本年度に収集した一次資料に対する分析と考察を進めるため、関連文献資料を購入するとともに、資料整理のための機材の購入を予定している。また、資料の補足調査を行う予定であり、海外旅費として本補助金の活用を予定している。
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