2014 Fiscal Year Research-status Report
国際経済秩序構想をめぐる南北間対立への国連開発援助機関の対応とその行動原理
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25780114
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
真嶋 麻子 津田塾大学, 付置研究所, 研究員 (60598548)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | UNDP / 移行期ラテンアメリカ / 冷戦 / グローバル・ガバナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国連開発計画(UNDP)をはじめとする国連開発援助機関の行動原理を明らかにするために、1970年代中葉から1980年代に激化・収束した援助ドナーと受け入れ国への対応策を検討することを課題としている。 2014年度には特に、UNDPの開発援助業務の遂行形態の特徴である「現地化」―被援助国現地の資金、人材、アイディアを活用した業務の実施のこと―が導入された1970年代のラテンアメリカ地域と国連機関との関係を解明することを試みた。それによって、国連開発援助機関の行動が、援助ドナーの意向ばかりでなく、それぞれの被援助国が抱える特殊な状況への対応によっても規定されることの一端を分析したものである。 同時に、第二次世界大戦後世界におけるトップドナーとしてのアメリカ合衆国の援助政策について再整理することも行った。国連が携わる開発援助は、二国間援助とは異なる原動力を持つものである一方、国連外の―主流の―国際開発援助政策の動向と無関係には展開されえないことを改めて確認するためであった。 国際開発領域における国連独自の行動原理を、国際関係の特定の歴史的時点および国連以外のアクターとの関係性の中で明らかにしていくという本研究の関心は、2014年度の研究の進捗とも不可分に関わっている。こうした関心と分析手法とを、現代の国際開発政策に対する精確な分析に応用し、国連もその軸の一端となるグローバル・ガバナンスの実相を明らかにできるよう、積み重ねているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度は、報告者の当初からの関心であったUNDPの「現地化」政策の導入期―1970年代中葉―に焦点を当てた分析に着手できたことが主な成果であった。それはこの問題設定が、本研究課題で設定した、変動期の国連の開発援助政策の重要な一部となっているためである。 加えて、本研究課題のもう一つの柱である、国連機関の事務局の政策形成へのかかわりについての分析は、まだ途上である。
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Strategy for Future Research Activity |
2013~2014年度をかけて収集した史資料を用いて、研究課題の成果をまとめることが2015年度の主要な課題である。そのために、UNDP管理理事会(当時)の議事録および当時のUNDP総裁・事務局の作成した政策文書の背景の傍証となる史資料を収集・分析することも、同時並行で進めることとする。
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Causes of Carryover |
2014年度は資料の整理ならびに中間的な成果のまとめに専念したため、旅費の支出が予定していた額よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度には、本研究課題の成果のまとめのための補足資料の収集および購入と成果発表のための学会への参加として、残りの補助金を使用する計画である。
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