2014 Fiscal Year Research-status Report
冷戦期の在日米軍基地の運用をめぐる合意形成-地域安全保障のなかの日米同盟
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25780125
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
楠 綾子 関西学院大学, 国際学部, 准教授 (60531960)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日米安保条約 / 日本外交 / 同盟 / 基地 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究活動は、資料収集と過去数年間に調査・収集した資料の分析が中心となった。 まず資料収集は、6月に米国の国立公文書館、7月にオーストラリアの国立公文書館で行った。米国では昨年閲覧できなかった資料や見落としていた資料などを収集することができた。オーストラリアでは、オーストラリアが対日講和条約や日米安保条約の形成にどのように関与し、どのように理解していたか、また1950年代の日本外交や日米の安全保障関係をどのようにみていたかを示す資料を調査することができた。地域安全保障のなかで日米の安全保障関係がいかなる意味をもっていたかを理解するうえで非常に有用な資料収集だった。 過去数年間に収集した史資料の分析を通じて、1950年代の基地をめぐる日米関係の実態が少しずつ輪郭をもってきた。基地の運用をめぐる関係の形成、基地と日本の再軍備の連関について事実の再構成に少しずつ近づいている。 学会では、今年度はアメリカ対外関係史学会(SHAFR)や国際政治学会で討論を担当した。米国の東アジア政策や日米同盟を、長期的な視野で考えるうえで有用であった。 また今年度は、講和条約とアジアという観点から資料を読み直し、考えを深めることもできた。「サンフランシスコ体制」あるいは「日米安保体制」と呼ばれるものをアジア地域の視点からみて記述することは、日米間の安全保障関係をより多角的に理解するきっかけとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集については、米国で閲覧したい資料はほぼ収集できたと考えている。軍部関係や個人文書はもう少し調査の余地があるかもしれない。またイギリスや可能であればフィリピンなど、米国以外の西側諸国の史料はもう少し調査せねばならない。 史資料の分析も順調に進んでいる。過去数年間の収集量は数万点に上るため、分析にはもう少し時間を要するが、現在までの分析で、1950年代から1960年代にかけての基地をめぐる日米関係や在日米軍基地が地域安全保障のなかでもっていた役割が少しずつ明らかになっている。史資料の分析をさらに進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
引きつづき史資料の分析を行うとともに、次年度は分析結果を論文として発表する。基地の運用をめぐる合意形成、基地と再軍備のトレード・オフ関係の変容とその意味、鳩山一郎内閣期の日米関係について、それぞれ論文として発表したい。 これに並行して、資料収集も継続する。米国では個人文書を中心に、イギリス、可能であればフィリピン、台湾で、それぞれ資料調査・収集を行う。また国内の在日米軍基地の所在地での現地調査も行いたい。
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Causes of Carryover |
今年度は資料の分析や論文の執筆を優先したこと、研究会等などの日程の関係で夏期、春期に長期の資料収集を行うことができず、旅費が当初の予定より少なくなった。物品費については、パソコンを購入する計画であったが、機種の選定を慎重に進めていたために購入の時期を逸した。また人件費については、資料整理等でアルバイトをお願いすることを考えていたが、今年度はその必要が少なかったためにお願いすることはなく、人件費での支出はなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はパソコンを購入する予定である。また、海外および国内での資料収集がかなりの頻度になると考えられる(国内では東京のほか岩国、三沢、沖縄、横須賀などでの調査を予定)ため、その旅費に充てる計画である。
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Research Products
(2 results)