2014 Fiscal Year Research-status Report
協調行動の生成および伝播における学習と認知の役割:実験経済学的研究
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25780140
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐々木 俊一郎 近畿大学, 経済学部, 准教授 (50423158)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 実験経済学 / 社会的選好 / 観察的学習 / 同調 / 非同調 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究の中心である経済実験を実施した。 一部の実験では、コンピュータ・プログラムの不具合によって実験を中止せざるを得ない状況になったものの、実験回数を当初計画よりも増やすことによって、予定していたデータ数は確保することができた。 実験では、被験者が他人との間で金銭的利得を配分する時にコミュニケーションを取ることが可能な場合に他人にどのようなメッセージを送るか(利己的なメッセージを送るか、協調的なメッセージを送るか)についての被験者の意思決定データを収集した。これまでの結果によると、被験者は協調的なメッセージよりも利己的なメッセージを送る傾向があるものの、極端に利己的なメッセージよりも中程度に利己的なメッセージを送る傾向があることが確認されている。この結果は、個人の効用水準は自分の利得の増加関数であるが、他人の利得の差との減少関数であるというFehr and Schmidt (1999)の「不平等回避」モデルと一部整合的であると解釈できる。 来年度実施する実験において被験者は、今年度の実験結果を観察した後に今年度と同じ内容の意思決定問題に回答する予定である。過去の実験結果を観察することが被験者の行動変化にどのような影響を与えるかについて詳細に分析し、他人の社会的選好を観察した被験者が他人の社会的選好に同調するか、他人の社会的選考が社会全体に伝播するかという本研究課題について包括的に検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は概ね予定通りに実施することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実験を6回実施する予定である。そのうえで、実施予定の実験結果と実施済みの実験結果を比較し、社会的選好の伝播が見られるかについて分析を行う。
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Causes of Carryover |
実験謝金の額は被験者の意思決定とランダムなくじによって決定されるため、今年度交付額通りに支出することが困難であり、残金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、実験謝金および用品費等に支出する予定である。
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