2013 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児医療費助成制度は子ども健康に影響を与えているのか?
Project/Area Number |
25780199
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Institute for Health Economics and Policy, Association for Health Economics Rsearch and Social Insurance and Welfare |
Principal Investigator |
高久 玲音 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), その他部局等, 研究員 (80645086)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 応用計量経済学 / 子どもの健康 / 医療需要 / 自然実験 |
Research Abstract |
平成25年度は厚生労働省に対して統計法に基づいて基幹統計(国民生活基礎調査、患者調査、医療施設調査)の調査票情報を申請すると共に、市区町村における乳幼児医療費助成制度の拡充過程を調査するために、2013年10月に全市区町村と都道府県に対してアンケート調査をおこなった。アンケート調査を行った事由としては、文献による助成情報の取得が過去については困難だったことが挙げられる。このアンケート調査により、1995年から2010年までの55%の市区町村における助成制度の対象年齢や給付方法が明らかになった。第一の成果として、外来医療費の助成過程については市区町村レベルでみて地域差が非常に大きく、同じような所得水準の地域であっても小学生以上に拡充した地域もあれば、就学前までの助成にとどめている地域もあることが分かった。次に、第二の成果として、外来医療費の助成情報を1995年から2010年の国民生活基礎調査の健康票と突合し、15歳以下の子どもを対象に解析を行ったところ、医療費助成が子どもの自覚症状や主観的健康に与える影響は年齢や家族属性によって様々であり、引き続き検討が望まれることが明らかになった。調査初年度である平成25年度については、①アンケート調査の実施が2013年10月と遅かったこと、②基幹統計の調査情報の取得に時間がかかったこと、により医療費助成が健康に与える影響について確定的な知見は得られなかった。しかし、中間結果については既に学会報告も予定しており、計画は概ね順調に進んでいると考えている。次年度については、患者調査や医療施設調査等の解析も進め、より詳細な検討を行う予定である。また、分析の過程で、医療費助成の効果を把握するためには、母親の就労状況や保育施設の利用の在り方についても言及する必要があることが明らかになったことから、別途そうした点についても分析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中間的な結果について、既に論文を執筆し学会報告も予定されており、おおむね計画は順調に進行していると考えている。まず、研究計画書では医療費助成が子どもの健康に与える影響を把握するために、①乳幼児医療費助成制度の拡充過程を明らかにし、②死亡率への影響、③入院確率に与える影響、④健康診断の結果に与える影響について検討するとした。このうち①については、計画通り初年度にアンケート調査を実施し、1995年から2010年までの期間において地域差がどのように拡大してきたか明らかにした。次に、死亡率への影響については、より軽度の疾患への影響がなければ死亡率についても影響がある可能性はなくなるため、当初の予定を変更し、国民生活基礎調査を用いて子どもの自覚症状や主観的健康への分析を行った。その結果、自覚症状等への影響についても比較的効果は中庸であり、死亡率への影響があるとは考えられないことから、追加的な死亡率に対する検討は行わないこととした。次に、健康診断の結果については、東京都の学校保健調査を利用するために、データ入力会社へ紙媒体からのデータ入力を依頼しデータは作成しており、次年度には分析を進められる予定である。最後に、入院確率へ与える影響については、当初より次年度の研究課題としており、データの取得も済んでいることから計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、患者調査を用いた入院確率への影響の分析にまず取り組みたい。また、健康診断の結果に与える影響についても既にデータの取得は済んでいることから、分析を進める予定である。さらに、初年度の成果に基づいて学会発表も予定されており、討議の結果を踏まえて専門誌への投稿を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では1995年から2010年までの乳幼児医療費助成制度の詳細な市区町村別情報をアルバイトを雇用しデータ集から入力するために人件費として145万円を予定していた。しかし、購入を予定していたデータ集が利用可能ではないことが分かったため、新たに市町村と都道府県に対して直接アンケート調査を実施し制度の詳細を把握することにした。そのアンケートの郵送(約27万円)や集計(約86万円)にかかった費用は、人件費として支払を予定していた額よりも低かったために、残額が生じた。 差額の35万円については、当初見込んでいた予定よりも国内外での発表機会が多くなったために、そうした発表を行うための旅費(5万円)として追加計上する。その他、英語論文執筆時に校正のための費用が論文の数及び分量の増加のため多くかかる見通しであり、既に今年度会計に計上されなかった見積もりベースの金額で16万円相当が英文校正費として発生している。これらの費用を支払うために、追加的に30万円(既に16万円使用)を追加計上する。
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Research Products
(2 results)