2013 Fiscal Year Research-status Report
トランスナショナル化による競争優位構築:新興国のオートバイ産業と日本企業
Project/Area Number |
25780263
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三嶋 恒平 慶應義塾大学, 経済学部, 准教授 (90512765)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新興国 / モータリゼーション / ミャンマー / バングラデシュ / インド / オートバイ産業 / リバースイノベーション / トランスナショナル化 |
Research Abstract |
本研究は、日本企業の国際的な競争優位の源泉としてトランスナショナル化に着目し、1新興国の市場・拠点でのイノベーションの発現、2そのグローバルな組織における共有経路・形態、3それらが組織全体の競争優位へ及ぼす影響の3つを明らかにすることを目的とした。以下、当初計画で挙げた3点に沿いながら平成25年度の実績を説明する。 第1に、新興国でのイノベーションの創発に関する情報収集と実態解明である。これは、11月15日から23日に行ったミャンマー調査、2月2日から12日に行ったインド・バングラデシュ調査を通じて果たすことができた。いずれも先行研究に乏しく、企業や業界についての具体的情報も少なかったため、情報収集と実態解明に現地調査は大きな役割を果たした。これを踏まえ12月7日京都大学でのアジア自動車シンポジウムにおいて「オートバイ流通の実態」として報告し、アカデミズム、ビジネスマン双方に還元することができた。 第2に、日本企業にみるグローバル組織でのイノベーション共有に関する資料収集と実態解明である。これは上記調査時において、日本企業と販売店を巡ることで実態把握を進めることができた。また、1月14日には日本の商社を訪問し、意見交換を行うなどして、調査により得られた情報とその理解の妥当性を検討した。 第3に、実態解明に際する課題と視角、フィールドワーク結果の検証と論文執筆をであった。これについては、Global Trade Atlasの膨大な通関データに基づき、近年のオートバイ産業の国際貿易状況を整理した。こうしたマクロデータの分析から、上記調査の際の課題の抽出が達成できた。あわせて、リバースイノベーションやBOPビジネス、オープンイノベーション等の先行研究のサーベイも果たせた。 これらを踏まえ2年目には積極的に学会報告を行い、論文を執筆していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1の目的に対しては、実態調査において、ミャンマー、バングラデシュ、インドの3か国を訪問し、合計100程度の販売店、3000台ほどのオートバイを調査することで、流通動向をつかめたことが挙げられる。 第2の目的に対しては、販売側を見ることができたことは成果であるが、供給側については今後の課題として残っている。 第3の目的に対しては、初年度としては順調であり、特にマクロデータの収集と分析ができたことが大きい。ただし、それに基づいた分析枠組みの妥当性については、学会報告での議論や論文投稿を通じた査読プロセスで本格的に行う必要があり、これは次年度以降の課題であるだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
調査を行うべき国として、タイ、インドネシア、ブラジル、ナイジェリアが残っている。多様な国をみることで、企業のイノベーションのありようや競争優位の発現について詳しく検討できると考える。 フレームワークとして、グローバルバリューチェーンの視角をより精緻に検討し、国際分業の観点を強めていく。こうすることで、リバースイノベーションの発現プロセスや組織内の共有の客観化がより果たせると考えている。 また、学会報告に加え、論文執筆を進めていく。次年度は3年計画の2年目であり実態把握に重点が置かざるを得ないが、それでも最終年度の成果をより大きなものとするためには、次年度から論文とし、議論を深めていく必要があるだろう。
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Research Products
(1 results)