2013 Fiscal Year Research-status Report
マーケティング活動の投入産出関係に対するアカウンタビリティの管理会計学的研究
Project/Area Number |
25780294
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
君島 美葵子 神奈川大学, 経営学部, 助教 (50645900)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マーケティング管理会計 / アカウンタビリティ / マーケティング・メトリクス / マーケティングROI / 効果測定 / 営業費 / 業績評価 |
Research Abstract |
本年度は,マーケティング管理会計とマーケティング・メトリクスの基礎研究を行った。研究の主眼は,マーケティング管理会計研究が行われた経済的・社会的背景を整理した点,『レレバンス・ロスト』とマーケティング管理会計との関わりを記述した点,マーケティング活動の業績評価指標を再検討した点にある。マーケティング管理会計研究が行われた経済的・社会的背景では,当該研究の基礎と位置づけられる1940年代から1990年代までを対象とした。そこでは,大量消費と大量販売との関連性,各種マーケティング活動の合理化という状況が,研究発展の背景にあった。2000年代以降,マーケティング管理会計研究が消極的になるが,同時期に情報技術の高度化などが顕著になったことも踏まえ,マーケティング管理会計の先行研究の枠組みを再検討する必要性を明らかにした。次に,『レレバンス・ロスト』とマーケティング管理会計研究との関わりを通じて,その研究動向の発展を示した。ここでの議論は,管理会計技法の開発という方向で展開され,ABC(Activity-Based Costing)の提唱と,その考え方がマーケティング管理会計研究においても結び付くことが明らかになった。そこには,経営的な要求も存在し,ABCを通じて提供される営業費情報は,マーケティング活動の業績評価,意思決定を支援する会計情報としての役割が見られた。さらに,マーケティング・メトリクスの視点から広告活動の業績評価指標を取りあげた。広告費管理の課題として,広告効率測定があげられてきたが,近年の情報技術の高度化によって,広告効率測定時の投入(広告費)と産出(広告効果)との関係性の可視化が期待されるようになった。そのため,マーケティング管理会計研究の枠組みを発展させながら,マーケティング・メトリクスの概念を整理することによって,その課題に対処することが可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的の1つとして,「マーケティング活動の投入産出関係の明確化を,理論研究と,企業の経験に基づく事例研究によって解明する」ことを掲げている。この目的の発展方向は2つあり,理論研究としての発展と,企業の経験に基づく事例研究としての発展があげられる。このうち事例研究は,平成26年度以降に行う予定である。それに対して理論研究は,次のように達成状況を示すことができる。先に示した研究概要のとおり,平成25年度は3つの側面から研究成果を発表した。マーケティング管理会計研究が行われた経済的・社会的背景を整理した点は,「電子商取引の発展と営業費会計の変容」(中村博之・高橋賢編著『管理会計の変革―情報ニーズの拡張による理論と実務の進展』所収,中央経済社,2013年9月),『レレバンス・ロスト』とマーケティング管理会計との関わりを記述した点は,「営業費会計に対する『レレバンス・ロスト』の貢献」(『神奈川大学国際経営論集』第47号,2014年3月),マーケティング活動の業績評価指標を再検討した点は,「企業活動の全体最適化にむけた営業費会計の役割とその課題」(日本会計研究学会第72回大会,2013年9月5日)である。ただし,次のような課題も残されている。それは,現状の研究成果において,マーケティング管理会計の理論的鈍化の要因として,現代企業を取りまく経済的・社会的背景にその要因を求めているが,業種業態に応じたマーケティング活動の相違,すなわち,企業内部にもその要因を求めるべきということである。これらの要因とマーケティング管理会計の理論的鈍化との結びつきが認識されれば,マーケティング管理会計研究の発展の方向性を鮮明に示すことが可能になると考えられる。前年度からの理論構築作業は残されているものの,以上のことから,本研究課題は,おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,マーケティング管理会計の変遷とその現状理解,マーケティング・メトリクスの整理を理論的側面から進めてきた。今後の推進方策は以下のとおりである。まず,質問票調査,企業へのインタビュー調査を通じた,マーケティング・メトリクスの活用動向の把握があげられる。マーケティング・メトリクスの選定や活用が,企業ごとに相違するマーケティング活動に依拠することは想像に難くない。そのため,文献研究のみならず企業のマーケティング活動の実態を捉えることが不可欠であると認識される。ここでは,企業属性などを考慮することも求められるが,企業のマーケティング活動の実態把握が急務になるため,調査対象企業の選定に着手したい。次に,アカウンタビリティの理論研究も,その調査と並行して行うことが必要となる。本研究課題の目的の1つとして,「経営管理者が自社のマーケティング活動において利害関係者へのアカウンタビリティを果たし,双方向のコミュニケーションを実現するための管理会計学的基盤を構築する」ことも掲げている。このアカウンタビリティの概念は,会計学にとどまらずさまざまな研究分野で議論されていることから,本研究課題で適用する概念を慎重に提示する必要がある。そのような考察を経ることによって,業績評価指標としてのマーケティング・メトリクスと,企業のマーケティング活動との間の有機的な関係を明確にすることができると考えられる。以上のことから,今後の研究は,平成25年度からの継続的な理論研究と,質問票調査,および企業へのインタビュー調査など,企業の経験に基づく事例研究を行う。これらの研究を遂行することによって,理論研究から理論の適用研究へと重点を円滑に移すことができる見込みである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度からの次年度使用額繰越は,当初複数回予定していた意見交換のための研究打合わせや情報収集の代わりに,企業のインタビュー調査(1回)を実施したことによって生じた。 平成26年度は,郵送質問票調査を予定している。その調査では,質問票の印刷費,発送費,封筒や宛名ラベルなどの購入が必要となる。また,企業へのインタビュー調査も予定している。その理由は,近年のマーケティング活動の複雑さや,企業が扱う製品・サービスに応じたマーケティング戦略の影響などとマーケティング・メトリクスの選定や使用の根拠を見出すためである。したがって,これらの調査の実施,他の研究者との意見交換の目的で旅費を使用することになる。ここでは国内旅費を想定しているが,マーケティング活動は,国内に留まらず海外にも及ぶ場合も考えられることから,海外での調査も積極的に検討して取り組みたい。さらに,前年度から継続して文献研究を行う都合上,関連図書を揃えるために適時,研究費を支出する。以上のことから,前年度よりもさらに効果的な研究活動が実現できるよう,研究費を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)