2015 Fiscal Year Research-status Report
大学生による不登校児童生徒の支援に関する研究:対象児のアセスメントと介入効果測定
Project/Area Number |
25780408
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
大西 将史 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (20568498)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 気がかりな子ども / 不登校児童生徒 / 支援 / 学生ボランティア / アセスメント / 効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,筆者らが運営する学生ボランティア派遣事業『ライフパートナー(LP)事業』の対象児童生徒に対して,(1)LPを利用する児童生徒の状態と支援ニーズのアセスメント,(2)LP支援効果の測定,を行うことを目的とするものである。平成27年度は,前年度に引き続き調査を行った。調査対象者は,福井県内の公立中学校1校の生徒約400名であり,その内,LPによる支援を受けている生徒は19名,LPによる支援の対象とはなっていないが,教師から見て気がかりな生徒は13名であった。 (1)アセスメント:382名(男子200名、女子182名)の生徒を対象に,抑うつ傾向,攻撃性,SDQ(発達障害傾向),ストレス,ストレス対処についての質問紙調査を実施した。LP支援対象生徒のみを対象とし,SDQ(発達障害傾向)及び社会的スキルについて教師にも回答を求めた。調査時期はLPによる支援活動の始まる前の5月中旬であった。分析の結果,抑うつ、攻撃性及び学校ストレスにおいては,LP支援対象生徒が一般生徒よりも有意に高く、ストレス対処の問題解決においては、LP支援対象生徒が一般生徒よりも有意に低かった。SDQの発達障害傾向においては、LP支援対象生徒及び気がかり生徒が一般生徒よりも有意に高かった。教師への調査については,SDQの向社会的行動及び社会的スキルの全下位尺度において標準的な生徒よりも1標準偏差以上も低かった。よって,LP支援対象生徒は上記メンタルヘルス及び行動傾向の指標において課題を抱えていることが示唆された。 (2)支援効果の測定:(1)と同じ調査対象者に同内容の調査を12月中旬に行った。分析の結果,LP支援対象生徒は抑うつにおいては悪化傾向にあるが,学校ストレスにおいては一般生徒が悪化する中変化がなく,LPによる支援はストレスの上昇を食い止めるという間接的な効果を有していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は,研究課題(2)LP支援効果の測定について,支援終了6ヶ月後にfollow up調査を行う計画であった。しかし,平成26年度の研究課題(2)LP支援効果の測定におけるpre-post調査のサンプルサイズが少ないことから,平成27年度においても平成26年度の課題を引き続き行った。そのため,follow up調査については実施できなかった。 しかし,平成26年度と27年度の2年間の調査で目標としていたサンプルサイズを得ることができたため,計画の遅れはあるものの着実に計画は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までで得られたデータのサンプルサイズは十分なものになったため,当初の計画に従いfollow up調査を行っていく。また,これまで行ってきた調査の全データを合わせた分析を行い,本研究の成果をまとめていく。
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Causes of Carryover |
当初使用予定であった人件費・謝金を使わなくて済んだため。また,研究の進捗状況が遅れているため,1年間の研究期間の延長を申請し・承諾されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残りの研究費は,未遂行の研究課題を実施するための物品費及び人件費・謝金として使用するとともに,研究成果のまとめと報告のための旅費・出版費としても使用する。
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